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幼稚園の頃から仮面ライダーになりたかった

――小さい頃から『仮面ライダー』シリーズは見ていましたか?

青木 見ていたんですが、小さすぎてほとんど記憶がなくて。でも『仮面ライダーセイバー』の出演が決まって、幼稚園のときに使っていたお絵描き帳を見返していたら、「夢お絵かき」というテーマがあって、「仮面ライダーになりたい」って絵を描いていたんです。それを見て自分でも驚きました。

――約20年越しの夢が叶ったんですね!物持ちもいいですね(笑)。

青木 おばあちゃんが保存してくれていました(笑)。

――今や『仮面ライダー』シリーズは若手俳優の登竜門になっています。オーディションの緊張感はすごかったのではないでしょうか。

青木 意識し過ぎないように気をつけたんですけど、やっぱり緊張しました。

――『仮面ライダーセイバー』の撮影に入る前にアクションの練習はあったんですか?

青木 クランクインする前にスーツアクターさんたちと一緒に、アクション稽古をさせていただきました。スポーツは好きなので、運動神経には自信があったんですが、慣れない動きがたくさんあって大変でした。ただ、やっていくうちにコツが分かってきて、それが楽しかったです。

――決めポーズは最初から決まっているんですか?

青木 僕が演じる富加宮賢人(ふかみや・けんと)、仮面ライダーエスパーダを担当してくださるスーツアクターさんと話し合いをして、キャラに沿って作り上げていきました。

――スーツアクターさんと一緒に作り上げるんですね。

青木 賢人はクールなので、それを感じさせる立ち居振る舞いを入れて、仮面ライダーエスパーダは華麗で流れるような剣さばきを意識しました。僕は体が大きいので、それを活かしてダイナミックな動きも取り入れました。

――学生時代、何かスポーツをやっていたんですか?

青木 ずっと水泳をやっていました。あと部活でサッカーとバトミントン、友達と野球やバスケをやることも多くて、いつも体を動かしていましたね。

――今回、どのような役作りを考えましたか。

青木 賢人は、みんなと仲良くしていても一線を引いてしまうところがあります。最初はよくいるクールキャラなんですけど、回を重ねるごとに、その背景に主人公との確執があってそうなったことが分かっていきます。監督やプロデューサーさんとお話をさせていただいて、その時々の賢人の気持ちを表現できるように役を更新させていきました。一方で賢人は自己犠牲がすごくて、第13章で消滅してしまうんですが、第25章で復活します。復活後も自己犠牲がすごくて、その辺のキャラクターも深堀りできるように考えて演じています。

――青木さん自身と賢人で共通する部分はありますか。

青木 あまり悩みを人に打ち明けないところは似ていますね。

先輩の役者さんがいることでメリハリのある現場に

――『仮面ライダー』シリーズといえば最先端のCGを駆使していますが、実在しないものに向かって演技をするのは難しさはありますか?

青木 最初に絵コンテを見せていただくのですが、絵で見ても実際の映像のイメージは掴めないのが難しいです。出演者みんなで話し合いながら想像を膨らませていくのですが、監督から何か言われない限りは、自由にやらせていただいています。

――目標物がない中で目線をつくるのは大変そうです。

青木 目線は一番難しいですね。野外だと高い建物などがあれば、そこを目印にします。室内シーンで言うと、僕たちが拠点にしているノーザンベースは本棚がたくさんあるので、その中で照明や特定の本を目印にしています。CGを使うシーンは自分たちのお芝居だけでカバーできない部分もたくさんあるので、実際の放送を見て、どのようにCGが使われているのか理解することで、徐々に感覚は掴めてきています。

――仮面ライダーエスパーダを担当するスーツアクターさんの動きに、青木さんも近づけていくことはあるんですか?

青木 スーツアクターさんがアクションしている動画を撮らせていただいて、それを見て近づけるようにはするんですけど、動きがすごすぎてついていけないんです。なので、そこはスーツアクターさんが頑張ってくれています。

――剣劇シーンも初めての経験ですよね。

青木 初めての経験でした。ただ手に何かを持っての演技は、ミュージカル『テニスの王子様』の手塚部長役で経験しました。そのときは左利きの役だったんですが賢人は右利きなので、初めは手塚部長の感覚が抜けなくて苦戦しました。

――青木さんは剣さばきも美しいですが、剣を持った立ち姿もかっこいいです。

青木 立ち姿は堂々と構えるのもいいですし、ちょっと斜に構えるのもかっこよく見えるので、自分なりに工夫をしています。あと剣をメインに考えて、剣のエンブレムをかっこよく見せるか意識しています。

――同世代の役者さんが多いですが、現場の雰囲気はいかがですか?

青木 休憩時間は楽しく、本番は真剣に、とてもメリハリのある現場です。役者たちのまとめ役になってくれているのが大先輩の生島勇輝さんです。すごく優しくて、性格も明るくて、普段から悩みを聞いてくださるので、お芝居に関してもみんな生島さんに聞きに行きます。演技のときも率先して僕たちを誘導してくれます。

――青木さんと生島さんでは一回り以上、年齢が違います。

青木 最初は大先輩なので、しゃべりかけるのも恐縮していたんですけど、生島さんのほうから歩み寄ってくださって。常に僕たちのことを支えてくれるお父さん的な存在です。どうしても同世代で固まってしまうと身内感が出て、集中しているつもりでも、どこかで抜けてしまいます。生島さんのおかげでメリハリがついて、一つになれています。

『テニスの王子様』は楽屋から役になりきっていた

――演技に興味を持ったきっかけを教えてください。

青木 実は、いつの間にかお芝居が好きになっていて、あんまり覚えていないんです。19歳のときに友達と一緒にエイベックスのオーディションに応募しましたが、その時点では明確な目標はなかったんです。ただ将来を考えたときに、自分は同じ会社に何十年も務めて、何か結果を残すことより、未知の世界で挑戦してみようと思い、この業界に入りました。

――「劇団4ドル50セント」に入るまでに演技経験はありましたか?

青木 「劇団4ドル50セント」のオーディションを受けるまでは、お芝居に触れたこともなかったです。ただ劇団員全員が同じスタートラインで、誰かが突出して演技が上手いというわけではなかったので、その環境が良かったかもしれません。仲間であり、ライバルでもあったので、その中で闘争心を燃やして、頭一つ抜けてやろうと思っていました。

――演技経験がない中、レッスン以外で自分なりに努力したことはありますか?

青木 いろんな映画やドラマを見ることです。人のお芝居を見て、特徴を掴んで、その人の演技プランを勉強しました。同じ役者さんでも、若者、中年、老齢の方と、お芝居は全然違うので、それが面白いです。ベテランの役者さんの演技を、今の自分がやってみてもありなんじゃないかと試してみたこともあります。それは結果的に良くなかったんですけど(笑)。自分だけで考えるのではなく、人の演技を目で見て、耳で聞いて勉強することは重要です。

――ターニングポイントになったお仕事を教えてください。

青木 『テニスの王子様』です。その経験が『仮面ライダーセイバー』にも繋がっているのかなと思います。先ほどお話しした剣戟にしても、何かを持っての演技って、空いたほうの手を持て余してしまいます。そこは『テニスの王子様』をやったことで、自然な動きをすることができましたし、大きく体を動かして、いかに自分を強そうに見せるかという演技は、手塚部長で経験したことが活きています。

――『テニスの王子様』は熱心なファンが多いことで知られています。プレッシャーも大きかったのではないでしょうか?

青木 そうですね。原作のコミックやアニメが好きで観に来てくださる方が多いので、イメージとかけ離れてはいけないですし、もともと僕自身、アニメの『テニスの王子様』が大好きだったので、声優さんの演技を参考にさせていただきました。僕の演じる手塚部長を見て、「この人の手塚いいかも」って思ってくださるお客さんもいらっしゃって、そういう感想をいただけると嬉しいですし、もっともっと工夫しようと励みになりました。

――約3年間、手塚部長を演じられましたが、普段から役に入り込むようなことはありましたか?

青木 さすがに普段の生活ではないですけど、楽屋での立ち居振る舞いは役に近いですね。これは僕に限らず他の出演者もそうで、本番の1時間前ぐらいになると自然と役に入っていくんですよね。

――最後にティーンにメッセージをお願いします。

青木 僕が、この世界に入るとき、厳しい世界だと否定的な意見を言う人もいました。でも強い心を持って、しっかりと話し合うことで、相手の方にも納得してもらいました。誰かに言われて何かするよりも、自分で行動したほうが良い選択に繋がりますし、たとえ失敗しても自分に納得できるはずです。

Information

富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダ役でレギュラー出演中
『仮面ライダーセイバー』
テレビ朝日系列で、毎週日曜午前9時で放送中

7月3日からオフィシャルファンクラブもスタート!

オフィシャルサイト

青木瞭(あおき・りょう)

俳優

1996年2月26日生まれ。神奈川県出身。応募総数約5,000人の中から選ばれ、2017年8月より
「劇団4ドル50セント」の劇団員として活動を開始。ミュージカル『テニスの王子様』(2018〜2020年)の青学部長 手塚国光役が話題を呼ぶ。2020年9月より、『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日系)にて“富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダ”役でレギュラー出演。

Photographer:Hitokazu Nishimura,Interviewer:Takahiro Iguchi