先輩の役者さんがいることでメリハリのある現場に
――『仮面ライダー』シリーズといえば最先端のCGを駆使していますが、実在しないものに向かって演技をするのは難しさはありますか?
青木 最初に絵コンテを見せていただくのですが、絵で見ても実際の映像のイメージは掴めないのが難しいです。出演者みんなで話し合いながら想像を膨らませていくのですが、監督から何か言われない限りは、自由にやらせていただいています。
――目標物がない中で目線をつくるのは大変そうです。
青木 目線は一番難しいですね。野外だと高い建物などがあれば、そこを目印にします。室内シーンで言うと、僕たちが拠点にしているノーザンベースは本棚がたくさんあるので、その中で照明や特定の本を目印にしています。CGを使うシーンは自分たちのお芝居だけでカバーできない部分もたくさんあるので、実際の放送を見て、どのようにCGが使われているのか理解することで、徐々に感覚は掴めてきています。
――仮面ライダーエスパーダを担当するスーツアクターさんの動きに、青木さんも近づけていくことはあるんですか?
青木 スーツアクターさんがアクションしている動画を撮らせていただいて、それを見て近づけるようにはするんですけど、動きがすごすぎてついていけないんです。なので、そこはスーツアクターさんが頑張ってくれています。
――剣劇シーンも初めての経験ですよね。
青木 初めての経験でした。ただ手に何かを持っての演技は、ミュージカル『テニスの王子様』の手塚部長役で経験しました。そのときは左利きの役だったんですが賢人は右利きなので、初めは手塚部長の感覚が抜けなくて苦戦しました。
――青木さんは剣さばきも美しいですが、剣を持った立ち姿もかっこいいです。
青木 立ち姿は堂々と構えるのもいいですし、ちょっと斜に構えるのもかっこよく見えるので、自分なりに工夫をしています。あと剣をメインに考えて、剣のエンブレムをかっこよく見せるか意識しています。
――同世代の役者さんが多いですが、現場の雰囲気はいかがですか?
青木 休憩時間は楽しく、本番は真剣に、とてもメリハリのある現場です。役者たちのまとめ役になってくれているのが大先輩の生島勇輝さんです。すごく優しくて、性格も明るくて、普段から悩みを聞いてくださるので、お芝居に関してもみんな生島さんに聞きに行きます。演技のときも率先して僕たちを誘導してくれます。
――青木さんと生島さんでは一回り以上、年齢が違います。
青木 最初は大先輩なので、しゃべりかけるのも恐縮していたんですけど、生島さんのほうから歩み寄ってくださって。常に僕たちのことを支えてくれるお父さん的な存在です。どうしても同世代で固まってしまうと身内感が出て、集中しているつもりでも、どこかで抜けてしまいます。生島さんのおかげでメリハリがついて、一つになれています。