“野球部あるある”がとにかく面白い

――演じる上で意識したことを教えてください。

醍醐 一番意識したのは、コメディ映画ですが、僕が演じる黒田鉄平はコメディに振らないということです。テクニカルな部分は役割的に監督役の髙嶋政宏さんたちがやってくださっていたので、僕は「一生懸命やっているからこその面白さ」を出そうと、純粋に物語の中をしっかり生きようとしました。

――主人公が一生懸命だからこそ面白いですよね。

醍醐 最初のチャラチャラしている鉄平から、野球部に完全に染まりきるまでの1年間をどう見せていくかを意識しました。順撮りではなかったので、今はこれくらい野球に染まっているから、このくらいの走るスピードで集合しようとか、逆にまだチャラチャラした野球部入りたての時は、若干斜に構えているのがかっこいいと思っている。二重人格まではいかないですけど、鉄平の成長が急に変わらないように計算して、そこは慎重に演技するようにしました。

――久しぶりに丸坊主にされたとのことですが、ファンの方も新鮮だったと思います。

醍醐 坊主にして2日間くらいは鏡を見ても、「誰だろう。この人」って思っていました(笑)。ずっと長い髪の毛で過ごしてきたので、慣れなかったですね。髪の毛を拭くときバスタオルに引っかかって、首がボキっていくんです。その度に一瞬イラッとしつつ、ボディーソープをこう垂らして泡立てて顔を洗っておしまい。楽でしたね。体感2分3分くらいでお風呂終わっちゃう。

――役作りの参考にYouTubeで野球の動画を見られたそうですね。

醍醐 資料として、野球部の動画をたくさん見たんですけど、僕の中学時代の頃に比べて、今の年代の野球部はちょっと違っている印象でした。僕が所属していた部活(サッカー部)が、同世代に比べても厳しい方だとは思うのですが、野球部なのか自衛隊なのかわからないような感覚が当たり前だったりして。映画を観てくださる皆さんの感覚とかけ離れない様に、色々な野球部の動画を見ました。

――原作の漫画と脚本を読まれたときの印象はいかがでしたか?

醍醐 脚本をいただく前に原作の漫画を読んだんですけど、理不尽な環境におかれている、“野球部あるある”が面白かったです。僕は野球部じゃなかったですけど、部活ならではのあるあるに共感しながら、会話だけで面白おかしく笑えるってすごいなって。甲子園に行くわけでもなければ、感動するわけでもなく、ただひたすら面白い話が続いているという内容で、「これをどうやって映画化するんだろう?」と思いました。脚本は約90分にきれいにまとめられていたので、さすが飯塚監督だなと感心しましたね。