初舞台で役に向き合った時間が自分の自信に繋がった

――オーディションに合格してから、本格的な俳優活動を始めるまでの2年間は、どのような時期だったのでしょうか?

福本 学校を早退して、上京してオーディションを受けて、落ちて、みたいなことを繰り返していました。その時期は本当に辛かったですね。わざわざオーディションに落ちに東京に行くみたいな感覚で、「受けてもな~」みたいな。そのときはすごくネガティブでした。

――ターニングポイントになったお仕事は何でしょうか?

福本 2018年に出演したミュージカル「魔女の宅急便」です。初舞台で初主演、初ミュージカルと盛りだくさんでした。それまでの人生で、これといって「すごく頑張った!」と思えたことがなくて。受験とかいろいろな山はあったけど、何となく上手くやってこられたんです。ところがこの舞台では初めてのことばかりで思うようにいかない、でも本番までに絶対に仕上げなきゃいけないというプレッシャーの中で、役に向き合った時間が自分の自信に繋がったというか。頑張った分だけ自分で成長できた部分も感じたし、オーディションに落ち続けていた時期もあったから、舞台で初めてお芝居することが楽しいと思えたんです。暗黒期があったからこそ、もっとお芝居をやってみたいと強く思いました。やるしかない状況に立ち続けると人って自然と強くなりますし、メンタルも鍛えられました。

――今後、どういうお仕事にチャレンジしていきたいですか?

福本 お芝居だけじゃなくて、ナビゲーターのお仕事もさせていただけるようになったので、ラジオにも興味がありますし、いろんなことに挑戦してみたいです。お芝居で言うと最近は悲しい物語が多かったので、明るいコメディーとか、関西人なので関西弁を使える役柄もやれたら面白いんじゃないかなと思っています。

――最後に進路を検討しているティーンにアドバイスやメッセージをお願いします。

福本 高校生でやりたいことが明確に決まっている人ってあまりいないじゃないですか。私もこの仕事を始めるまでは、夢や目標はなかったですけど、でも大学受験は迫ってくるし、その先には就活がある。しかも私の世代から大学受験が難しくなると言われていて、中学3年生のときから、「今から頑張らないとヤバいよ」みたいなことを言われることもあり、かなり焦りもありました。よく友達と「将来どうする?」と不安にもなっていました。ありがたいことに私は「東宝シンデレラ」オーディションをきっかけに楽しいと思えることが見つかって、それが今も仕事になっていますけど、人それぞれそういう転機ってあると思うんです。

――いつ転機があるかなんて分からないですからね。

福本 まさに今、私の世代は就活している時期ですけど、そのタイミングで絶対に就活しなきゃいけない訳でもないし、友達には留学しようかなと考えている子もいます。そういう子たちを見ていると、絶対にこうしなきゃいけない、夢を持たなきゃいけないって思い詰めるのはしんどいと思うんですよね。だから自分の好きなことをやれるときにやっておいて、その中でやりたいことが見つかったら、それになるためにどうすればいいかを考えればいいんです。私もオーディションを受けるまでは、こんな人生になるなんて思わなかったですし、考え過ぎ、悩み過ぎは良くないですよ。

Information

『今夜、世界からこの恋が消えても』
2022年7月29日(金)全国東宝系にて公開!

道枝駿佑(なにわ男子)/福本莉子
古川琴音/前田航基/西垣匠/松本穂香/
野間口徹/野波麻帆/水野真紀/萩原聖人

原作:一条岬『今夜、世界からこの恋が消えても』(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)/監督:三木孝浩/脚本:月川翔、松本花奈/音楽: 亀田誠治/配給:東宝

クラスメイトのいじめを止めるため、同級生の女子・日野真織(福本莉子)に嘘の告白をした神谷透(道枝駿佑)。嘘の告白と分かりながらも、「放課後まで話しかけない」「連絡は簡潔にする」「お互いを本気で好きにならない」という3つのルールと合わせ、真織はOKの返事をする。好きにならないと約束を交わすもお互いを知るにつれ、いつしか惹かれ合う二人。透がついに想いを抑えられなくなった頃、真織から出た言葉は予想もしないものだった。「私。前向性健忘っていって、夜眠ると忘れちゃうの。一日にあったこと、全部」。毎日、記憶と経験をリセットされる彼女は日記に一日の出来事を書き留め、朝早く起きて復習することで記憶をつなぎとめていた。そんな彼女に少しでも幸福な日々を届けたいと献身的に向き合う透。しかし、そんな日常は長く続かなかった。透が真織の幸せを守るために仕組んだ“ある作戦”とは―。

©︎2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

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福本莉子

俳優

2000年11月25日生まれ。大阪府出身。2016年開催の第8回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリ、集英社(Seventeen)賞を併せて受賞し、芸能界デビューを果たす。同年5月には『のみとり侍』でスクリーンデビュー、6月上演の舞台ミュージカル『魔女の宅急便』で初舞台でありながらも初主演を務めた。『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)では、中心人物の一人としてカルテット主演を務め、これが映画初主演となり、翌年 2021年公開の『しあわせのマスカット』で映画単独初主演を飾った。近年の主な出演作品に『君が落とした青空』(2022)、『20歳のソウル』(2022)がある。

Photographer:GENKI (IIZUMI OFFICE),Interviewer:Takahiro Iguchi, Stylist:Ami Michihata, Hair&Make:Yoko Fuseya (ESPER)
衣装協力
ブラウス/¥41,800 ワンピース/¥53,900
ブランド名:PINKO/ピンコ
問い合わせ先:サン・フレール 03-3265-0251
イヤカフ(右⽿上部)/¥3,200 イヤカフ(右⽿下部)/¥4,300 ネックレス/¥5,400 リング(右⼿親指)/¥4,600 リング(右⼿中指)/¥4,500
ブランド名:TUWAKRIM/トゥワクリム
問い合わせ先:エスタードジャパン 03-5413-4807
金額は全て税込