自分の内面から出る言葉を大切にして源頼家を演じた

――映画、ドラマ、舞台と、めざましいご活躍です。ご自身にとっては初の大河ドラマとなった「鎌倉殿の13人」(NHK)の撮影も終わったとのことですが、改めて振り返ってみていかがですか?

金子 途中から参加したにもかかわらず、みなさん温かく迎えてくれました。小栗(旬)さんやスタッフさんをはじめ、みなさんには本当に感謝しています。大河特有の雰囲気も含め、時代劇も初めてでしたし、すべてにおいて新しい感覚を持って臨めたので、良い経験になりました。

――「鎌倉殿の13人」では、源頼朝(大泉洋)の嫡男、源頼家を演じられました。役作りのうえで意識された点はありますか?

金子 すごく難しい役でした。18歳という若さと、頼家の人間味のようなものを表現したかったので、いわゆる時代劇の話し方というよりは、純粋に自分の内面から出る言葉を大切にしようと思って演じました。

――時代劇となると、立ち居振る舞いも普段とは違ってきますよね。

金子 着物の着方、座り方、扇子の使い方、お茶碗の持ち方から始まって、あぐらをかくにも目上の人には足の裏を見せないなど、一つひとつ細かいんです。セリフも普段使わない言葉遣いですし、イントネーションにも苦戦しました。所作指導の先生にいろいろご指導いただきながら演じていきました。

――7月18日に始まった月10ドラマ「魔法のリノベ」(カンテレ・フジテレビ系)では、波留さん演じる主人公・小梅のライバル会社の営業マン・久保寺彰を演じていらっしゃいます。役作りにあたって意識されたことはありますか?

金子 久保寺はとにかくまっすぐで、ちょっとズレている新入社員です。すぐにマウントを取ろうとするし、好青年ではないですね(笑)。ただ、やっていることはめちゃくちゃでも、どこか憎めないというところがうまく出せたらいいなと思っています。

――個性派キャラも集結していますし、大河ドラマとはまた違う、クスっと笑えて元気が出るようなお仕事ドラマだと思いますが、現場の雰囲気はいかがですか?

金子 僕は原田泰造さんの部下役ということもあって、一緒にお芝居をする機会が多いんですが、とてもいい雰囲気の中、毎回楽しく演じています。「おっさんずラブ」でもご一緒させていただいた瑠東東一郎監督とも、コミュニケーションをとり合いながら撮影しています。

――金子さんはサウナ好きだとお聞きしたことがありますが、原田さんもサウナ好きとして知られていますよね。

金子 現場でもサウナの話をされています。僕もサウナ好きで、昨日も行きました。ちょっと毒素を抜こうかな、というときに行くのですが、僕は週1日程度。でも原田さんは週4らしく、ものすごく行ってらっしゃるんだなと思いました。

――ロマンポルノ50周年記念プロジェクト新企画「ROMAN PORNO NOW」にも参画され、映画『手』にも出演されています。

金子 日活ロマンポルノって何?ということをテーマに、松居大悟監督と話し、参加させていただきました。多くの人にとって、「日活ロマンポルノ」といえば、濡れ場というイメージがあると思います。今回も10分に1回、性的描写がありますが、日活ロマンポルノという枠を超えて、一つの映画として成り立っている映画だと思うので、たくさんの若者に見てもらいたい。純粋に愛をテーマにした映画なので、どの年代の方にも面白いと言っていただける作品だと思っています。

――過去の日活ロマンポルノ作品は観たことがありましたか?

金子 今回は、新しいものを作ろうというテーマもあったので、あえて触れずに臨みました。

――松居監督の演出はいかがでしたか?

金子 役者に寄り添ってくださる監督です。アイデアを出してもすごく肯定的に受け止めてくれます。役者に好かれる監督というイメージはありましたが、それが納得できましたし、リラックスしてお芝居できました。

――8月には、写真集の発売も控えています。主にご自身の出身地・北海道での撮影だったとうかがいましたが、改めてご覧になっていかがですか?

金子 自分で見るのは恥ずかしい(笑)。ただ、山田智和さんという素晴らしい方と一緒に仕事ができたのは、貴重な時間でした。山田さんとは一度ドラマでご一緒させていただいたことがあって、そこからのご縁ですが、素晴らしいクリエーターだと思います。彼の世界観に僕も惚れ込んでいるので、ご覧になった方に満足していただけたらなと思います。