一歩踏み出したほうが人生は絶対にいい

――「5つの歌詩(うた)」はドリカム(DREAMS COME TRUE)の楽曲にインスパイアされたドラマですが、企画を聞いた時にどんな印象を持ちましたか?

吉沢 僕自身、一ファンとしてドリカムを聴いていた側なので、「僕が『何度でも』がテーマのドラマで主演を演じるの?」という驚きが最初にありました。僕だけじゃなくて、監督さんや技術さんも含めて、みんなが現場でプレッシャーを強く感じていました。でも、丁寧に人間模様が描かれていた脚本だったので、感情移入はしやすかったです。

――脚本を読まれて、改めて「何度でも」を聴いて、気付かされた部分はありましたか?

吉沢 「何度でも」の曲の中に、“10000回だめで へとへとになっても 10001回目は 何か 変わるかもしれない”という僕が好きなフレーズがあるのですが、“何か変わるかもしれない”というのは、変わらないかもしれないという可能性も含まれているんですよね。一般的な応援ソングだと「きっと良くなるよ」とか、背中を押すようなワードが多いですが、ドリカムの歌詩の深さを改めて感じました。

――ただただポジティブなだけではないんですね。

吉沢 そうなんですよ。僕の演じた主人公の清一は、部下との関係や、父親との確執など、自分ではどうすることができない悩みを抱えながら生きている。そこが「何度でも」の歌詩とすごくリンクしました。「何か変わるかもしれない」ということは、良くなるかもしれないという要素も含んでいて、このドラマでも最終的に、ずっと会っていなかった父親と対面するんですけど、一歩踏み出したほうが人生は絶対にいいというメッセージがドラマの中で伝わればいいなと思っています。

――以前のインタビューで、今回の役は難しかったとコメントされていましたが、具体的にはどういう部分ですか?

吉沢 いろんな要素があるのですが、一つは妹との感覚の違い。妹は、あんまり傷ついてないから、お父さんに会いに行くと言っているけれど、清一は父親に対して絶対に許せないと思っている。そんな悩みを抱えながら、仕事ではマイペースな部下とパワハラ上司との間で、板挟みになっている。「相当辛いだろうな」とか「今ちょっと心が動いているな」という、清一の心の機微を、表現しようと努めたのですが、撮影現場も常にパーフェクトの状態ではないんですよね。今回だったら寒い時期の撮影というのもそうですが、撮影場所の横が道路だという音声的な問題もあったんです。「今のタイミングなら車も来ないので大丈夫です!」みたいに、瞬時に演じなくてはいけなかった。さらに、自分の思いを吐露するシーンは、部下の家の前のドアに向かってやったので、実際に吐露する相手がいなかったり、いろんな要素が重なったんですよね。一気に0から100に持っていくぐらいの集中した状態で、内面的な感情を出すのは、苦労した部分ではありました。