絶対一つはほめてくれる、お兄さんみたいな監督

――映画『ぜんぶ、ボクのせい』では、スクリーン・デビュー2作目にして、主演・松下優太役をオーディションで射止めました。児童養護施設出身で生みの母親に捨てられるという難しい役どころだったと思いますが、出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。

白鳥 「うれしい」のひと言でした。本当に飛び跳ねるくらい喜びましたし、自分の思いは全部出し切れたと思いました。

――台本を読んだ印象はいかがでしたか?

白鳥 優太は自分とはかけ離れた世界に住んでいるなと思ったので、最初は全然想像ができませんでした。

――その状態からどのようにして役作りをしていきましたか?

白鳥 泊りがけの撮影自体初めての体験でしたし、優太のように全然親と話さないということも自分にはありません。でも優太みたいな経験をしている人が、現実にはいるかもしれない、と、考えた時に僕にできることは、何度も台本を読んで、台本に書かれていない優太のバックボーンをたくさん考えました。撮影が始まる前に監督や川島さんと本読みをさせて頂き、徐々に役作りをしていきました。

――撮影は千葉県で行われたそうですね。古い街並みが印象的です。

白鳥 自然が豊かで、落ち着けた気がします。実生活では引っ越したばかりで慌ただしかったんですが、本当にリラックスできました。

――松本優作監督の印象はいかがでしたか?

白鳥 お兄さんみたいな人です。撮影終わりに「明日撮るシーンはちょっと難しいから、今日はゆっくり部屋で過ごして」とか、撮影中に泊まっていたホテルでも、初日から「大丈夫?もしもわからないことがあったら連絡して」と言って頂きました。撮影の時だけではありません。撮影が早く終われば夜ご飯に誘ってくださったり、撮影がお休みの日も「今日は素材を見るから部屋においで」と言ってくださったりして、そのままずーっと監督の部屋にいたこともありました。

――松本監督の演技指導はどのような印象でしたか?

白鳥 監督から「こうしたい」とおっしゃって下さることもあるんですけど、そういう時でも「ここは良かったから、ここはそのまま伸ばして」という感じで、絶対一つ褒めてくれるんです。それですごく気持ちが楽になりました。

――共演者のなかでも、川島鈴遥さんとはいろいろなお話をされたそうですね。

白鳥 川島さんは、撮影の合間によく話しかけてくださって、プライベートのことや、趣味について、いろいろな話をしました。撮影に入った途端、オンオフが切り替わるのがすごかったし、とても接しやすかったです。

――ほかの共演者の方の印象はいかがでしたか?

白鳥 オダギリ(ジョー)さんはこの作品に本当に真剣に向き合っていらっしゃって、「このセリフはこうしたほうがいいんじゃない?」「こう動いたほうが絶対いいと思う」など、アドバイスしていただきました。母親役の松本まりかさんもいろいろとアドバイスもくださって、みなさんとても優しい方々ばかりでした。

――最後の、川島さん演じる詩織との海辺のシーンでは本気で泣いたそうですね。

白鳥 前のシーンを撮ってから時間があって、気持ちを高める期間が長かったので感情を上げ続けることができたと思います。優太の立場で、お母さんに見捨てられて「どうすればいいんだ」という悔しさや、悲しさ、ぶつけようのない怒りのようなものをイメージしていました。川島さんも「全力で来てください」って言ってくださったこともあって、全力で行けました。

――優太に共感できる部分はありましたか?

白鳥 僕も自分の意見をまっすぐズバズバ言えるほうではないので、共感できる部分もありました。

――映画の前半と後半では感情表現もかなり変える必要があったと思います。

白鳥 前半は心が開けないというか、殻に閉じこもっている印象が強いシーンが多かったので、相手に対して牙を向いているイメージで臨んでいました。後半のオダギリさんや川島さんとの撮影の時は「家族」のイメージを大切にしていました。