長女だけが取り残されるのも三姉妹あるある

――姉二人と腹違いの妹が、人類の滅亡を前にゆっくりと家族になっていく姿を描いた映画『とおいらいめい』に出演されています。脚本を読んだ時の印象をお聞かせください。

吹越 日常生活を送りながらも、世界の終わりにどんどん向かっていくというSF的な部分を映像でどうやって表現するのだろう、と楽しみな一方で、それをリアルに受け止められるかな、とも思いました。

――吹越さんは三姉妹の長女の絢音を演じていらっしゃいますが、自分に通じるものがあるなと感じる部分はありましたか?

吹越 実生活でも私は長女なので、考えすぎたり作り込んだりしなくても雰囲気は出せたかなと思っています。他の二人の姉妹との距離感も、自然に感じたままの演技を意識しました。妹二人が時間をかけながら仲良くなっていく中で、自分だけが仕事のこともあって取り残されてしまうというのも、わりと三姉妹あるあるだと思ったんです。

――大橋隆行監督から演技について、指示はありましたか?

吹越 特になく、自由にやらせていただきました。シーンを重ねることは何回かあったので、監督なりの感じ方があるんだろうなと思うことはよくありました。

――後半のシリアスな長回しのシーンも、自然な印象を受けました。

吹越 大橋監督の作品は、静かな絶望をじわじわ表現することが多いと思います。演じている時は意識しませんでしたが、出来上がった作品を観て、監督のこだわりが詰まっているような気がしました。間をしっかり取ることを意識される監督なので、空気感を大事にしながら演じました。

――コロナ禍で一時撮影が中断したと伺いました。その間どのようにモチベーションを保っていらっしゃいましたか?

吹越 撮影が始まったのは2020年の1~2月頃で、そのまま撮り終える予定だったのですが、ぽっかり空いてしまいました。その間、前髪が伸びてしまっていて、撮影再開の際、「当時の前髪の長さに」と美容師さんにお願いして切ってもらったくらいです。

――映画では岡山の風景が効果的に使われていますね。

吹越 八百屋の店主の耕三さん(藤田健彦)が出てくる小さな八百屋のシーンでは、実在するお店をお借りして撮影しました。並んでいる商品もそのままです。ロケーションがいい味を出してくれました。