『とおいらいめい』出演で自分の居場所をもらった

――キャリアについてお聞きします。上京前からモデルをされていたそうですね。当時から芸能界のお仕事には興味がありましたか?

吹越 大学生の時に「美少女図鑑」に載ったのがきっかけです。中学生の頃から、雑誌のモデルに応募していた記憶がありますが、鳴かず飛ばずで、ここまで来ました(笑)。大学を出てから地元で一度就職し、ある意味勢いで東京に出てきたところがあります。今となっては考えられないのですが、当時は事務所も決まっていませんでした。地方出身者にとって東京は、行けば何かが変わると思わせてくれるところだし、とりあえず行こう、という感じでしたね。

――上京後のお仕事は順調でしたか?

吹越 当時は読者モデルやサロンモデルの全盛期だったので、そのあたりから始めて、結果的にモデル事務所に声をかけてもらいました。

――お芝居のお仕事を本格的に始めたのはいつ頃ですか?

吹越 『とおいらいめい』のオーディションがあった2019年の終わり頃です。モデルとして活動を続ける中でCMや動画でもお芝居をすることを求められることが多くなっていきました。それでお芝居ができたほうが仕事の幅も広がるかなと思ったんです。

――映画に出演したことで、よりお芝居に対する情熱に火がついたのでしょうか?

吹越 この映画で初めて長期間がっつりお芝居をさせてもらって、居場所をいただけたような気がしました。ドラマでも1~2シーンでの出演が多い中で、『とおいらいめい』があったから、「もうちょっと頑張ろう」「公開まで頑張ろう」と、ある意味自分の中の軸になっていた気がします。

――大学卒業後、地元で就職されたとのことですが、その経験が活きているなと思うことはありますか?

吹越 社会に出れば先輩との関係とか、メール一通送るにしても大切なことがいろいろありますよね。そういった経験が働く人を演じる上で活きている気がします。実は今もアルバイトをしていて、そこで人間観察をするようにしているんです。一人の社会人として人と接することの大切さをコロナ禍で痛感したので、あえてそうしている部分もあります。

――今後の目標を教えてください。

吹越 今は個人的に、不妊治療や養子縁組、育児に興味があって勉強したいと思っています。年齢を重ねた女性からも共感していただけると思いますし、背中を押せるような役に出会えたらいいなと思います。

――進路選択を控えるティーンにメッセージをお願いします。

吹越 10代は一つのことしか見えなくなってしまうことも多いと思いますが、道はいろいろあります。私のように違うことに挑戦してから自分のやりたいことに辿り着くこともあると思うので、一喜一憂せずに自由にやればいいと思います。辛かったら逃げればいいし、もうダメだと思っても、手を差し伸べてくれる人はいっぱいいるはずです。

Information

『とおいらいめい』
2022年8月27 日(土)〜9 月23 日(金)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開

髙石あかり 吹越ともみ 田中美晴 
ミネオショウ 大須みづほ 森徠夢 武井美優
藤田健彦 しゅはまはるみ
監督・脚本:大橋隆行
原作:とおいらいめい(2004年上演舞台)
©ルネシネマ

彗星の衝突により人類の滅亡が数ヶ月後に迫った2020年。ノストラダムスの予言を信じ、家出をした長女・絢音(吹越ともみ)、次女・花音(田中美晴)は、その後生まれた腹違いの妹・音(髙石あかり)と初めて一緒に生活することになる。彗星の衝突を前にシェルターの個室の設計を担当する絢音は、危険と隣り合わせの日々。花音は、妻とうまくいっていない妻子持ちの小学校の同級生・良平(ミネオショウ)と再会。音は、ひょんなことから花音が良平にキスするのを目撃。互いに踏み込めず、すれ違う三姉妹は、世界の終わりを前に本当の家族になれるのか。

公式サイト

Twitter

吹越ともみ

俳優

4 月25 日生まれ。広島県出身。2013 年から広島県でモデル活動を開始、お天気キャスターやレポーターとして注目を集める。上京後は佐川急便「和菓子屋の父」篇、JR 東海「うましうるわし奈良」など、CM、広告を中心に活動。2020 年SP ドラマ「半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~」鈴木莉乃役でドラマ初出演を果たした。

Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Takahiro Iguchi, Hair&Make:Ikumi Nukanobu