もっと密に情報交換できるネットワークを作りたい

――第1回目から今のような地方大会があって全国大会に進めるという形だったのでしょうか?

早野 地方大会を開催したのは、去年が初になります。去年はコロナ禍の影響で、地方大会ではなく「交流会」という形で、オンラインでの開催になりました。全国大会もオンライン開催で、ブースでの発表ができないのが残念でした。でもオンラインにもメリットはあって、会場が不要なので、何日かに分けて交流会が開催できました。ちょっとずつ集まって交流ができたことは学校の評判も良くて。今年は地区ごとに分けて予選会という形でやろうということになりました。

――地区大会を経ての全国大会は、今年は8月16・17日に、新宿住友ビル三角広場での開催になります。アピールポイントや見どころを教えてください。

早野 会場で開催できるのが3年ぶりなので、一昨年入学した子は2年間活動ができてないんですよね。今年初めて会場で開催できるというところで、張り切っているはずです。溜まっているものが結構あると思うので、思い切り発散してほしい。その姿を皆さんに見ていただきたいですね。

――早野さん自身は高校生たちにどういったものを期待されていますか?

早野 できるだけ、普段見ることができない他の学校の活動を知って、できれば交流をしてもらって、何か新しいムーブメントみたいなものが起きないかと期待しています。他校と一緒にやったらもっと良いことができるんじゃないかとか、何か連携してできるんじゃないかとか、そういうことを期待しています。

――今後の展開を教えてください。

早野 大会は大会でいいんですけど、日頃から一緒に活動できる、情報交換をもっと密にできるネットワークが作れるといいなと思っています。

――このアワードを始めて、出会った高校生たちから刺激を受けたことや、発見などはありましたか?

早野 発見だらけです。本当に思いもよらないような活動もあって、賞を獲っている学校を例に挙げると、小児がんの人たちにカツラを届けるヘアドネーション。企業とコラボして、大人たちも巻き込んで社会貢献をしているのはすごいなと思いました。他にも農業系の高校で多いのは、商品化する取り組みです。例えば農作業の汚れを落とす洗剤を商品にして販売していて、農業をやっている方々が、汚れが落ちないのが非常に嫌だという声を聞いて開発に至ったということでした。

――ボランティア・アワードを初めて知ったという高校生たちにメッセージをお願いします。

早野 同世代で頑張っている子たちが、全国にたくさんいるんだということを知ってほしい。そして一緒にやってみたいなと思う生徒が増えたらうれしいです。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、出場者以外の入場をお断りすることとなりましたが、大会の一部をYouTubeでご覧いただくことは可能です。もちろん出場してくれるのが一番ですが、何か刺激になることがあるでしょうし、勉強になることもあると思うので、ぜひ視聴してもらえればと思います。

――ボランティアに積極的ではない人たちに向けても一言いただけますか?

早野 人のためになる、役に立つというのはすごくうれしいことだと思うんです。ボランティアをやっている人たちも、自分のためにやっているというところはあると思います。達成感も得られるでしょうし、自分自身のためにもなることなので、生きている意味というか、そういったことを考える機会にもなるんじゃないかなと思っています。

Information

「高校生ボランティア・アワード」全国大会
開催日:2022年8月16日(火)/ 17日(水)
会場:新宿住友ビル三角広場

配信の視聴方法などは公式サイトをご確認ください

公式サイト

早野秀之

公益財団法人 風に立つライオン 理事

1990年、さだまさしの事務所である株式会社さだ企画に入社。主に、さだまさし公式ファンクラブ・まさしんぐWORLD会報誌の編集等に従事。2015年、設立時の理事として一般財団法人 風に立つライオン基金に携わる。現在、常務理事として、顕彰事業である高校生ボランティア・アワードと助成事業を主に担当している。

Photographer:Tomoaki Isahai,Interviewer:Takehiko Sawaki