撮影現場の雰囲気に身を任せることを大事にした

――ドラマ「ねこ物件」のオファーを受けた時は、どんなお気持ちでしたか?

細田佳央太(以下、細田) うれしかったんですが、猫を飼ったことがないので、猫とどう接していいのか分からない人が、この作品に関わって大丈夫なのかなという不安はありました。苦手意識はないのですが、猫好きの作品で、猫が好きな役だし、猫好きの視聴者さんから「いや、そんなことはしないだろう」と言われたらアウトじゃないですか。そういう緊張感はありました。

――撮影現場での猫とのコミュニケーションはいかがでしたか?

細田 抱き方から分かってなかったので、普段も猫を飼っている古川(雄輝)さんに、「こういう持ち方なら頭も触れるし、お芝居もしやすいし、猫ちゃんもバランス取れるよ」と教えてもらいました。また、チーム全体を通してのことですが、猫は犬と違って、こうして欲しいと思ったことをやってくれる訳じゃないんですよね。どんなに懐いていても、やっぱり大変でした。特に猫と人が関わるシーン、誰かがこうしているところに猫が寄ってくるとか、遊んでいた猫がこっち行っちゃうとかは、なかなか計算が難しかったです。

――猫をメインにしたシーンは、すごく自然な立ち居振る舞いをしていましたが、その時は役者さんも見てたりするんですか?

細田 はい。ただ、猫のシーンを撮るのって大変なので、撮れないところは後回しにしました。お芝居パートを撮り終えて、古川さんもアップした次の日に、猫だけのシーンを撮影したんです。今まで先送りにしてきたものをぎっしり詰め込んだ1日だったそうです。

――ドラマ版と劇場版の撮影を通して、最終的に猫とは仲良くなれましたか?

細田 古川さんがすごいんですよ。猫との距離感の取り方が上手い。古川さんと猫の仲に比べたら、僕はそこまでの領域に達していないと感じました。素人に毛が生えたレベル、素人だったのが、「かじってましたよ」と言えるぐらいですが(笑)。

――細田さんが思う、猫と仲良くなるコツは?

細田 余計なことをしないことですかね。構ってもらいたいから猫のところに行くんじゃなくて、猫に構ってもらうために待つ。

――猫がいる撮影現場の空気はいかがでしたか?

細田 猫がマイペースなので、なかなか思うように撮影が進まないこともありますが、猫の周りに自然と人が集まってくるのがいい点でもあるんです。撮影はシェアハウスの入居者と同じ順番で、まず古川さん演じる優斗がいて、僕が演じる修が最初、毅(上村海成)が2番目、丈(本田剛文)が3番目、ファンくん(松大航也)が4番目と、1日おき、2日おきに撮影現場に入っていったんです。基本的に人見知りが多い中で、会話のネタになったのは猫でした。そのおかげでみんなと打ち解けることができたので、猫が僕たちを繋いでくれました。

――ドラマ版での修は司法浪人生でしっかりものというキャラクターでしたが、役作りで意識したことは何でしょうか?

細田 衣装合わせの時に監督から、「修は優斗の右腕的存在で、入居者全員をまとめる立場です」という指示をいただきました。ただ撮影前に、かっちり役を作っていたということはなく、撮影現場での会話や雰囲気に身を任せることを大事にしていました。

――細田さん自身、人をまとめるのは得意ですか?

細田 得意じゃないですね。書記みたいなポジションは好きですけど、学級委員長や副学級委員長にはなりたくないんですよ。まとめなきゃいけないし、責任もありますし。たとえば文化祭でやりたいことを聞いても、「別に何でもいい」という生徒が多いと思いますが、それでも何かを引き出さなきゃいけない。そんな大変な役割はできませんが、意見を記録して「結局こうなったよね」という書記なら大丈夫かなと(笑)。

――修と自分がリンクするようなところはありましたか?

細田 僕はこんなにしっかりしてないんで、何とも言えないですけど。僕は、やりたことがある人に「じゃあどうしましょうか?」と聞いて支えたいタイプの人間。その立ち回り方は修に似ているかもしれないです。誰かが「ゴハン行きましょうよ」みたいにきっかけさえ作ってくれれば、セッティングはするので、そこも修に似ているかもしれないです。

――ゴハンと言えば、食事のシーンも印象的ですが、「これは特に美味しかった!」という料理は何ですか?

細田 ハムエッグがめちゃくちゃ美味しかったです。すごく丁寧に作ってくださっていたので、出していただいた料理は全て美味しくて。カットがかかった後も、みんなで「美味い、美味い」って食べ続けていました。監督も食事のシーンを丁寧に撮られていて、料理自体もより美味しそうに映っていますし、自然と食べている姿も美味しそうに見えるはずです。