猫と接して自分を大切にしていいという気づきがあった

――撮影でコミュニケーションを取る際、現場の雰囲気を良くするために心がけていることはありますか?

細田 自分が主演だったら壁を作らないというところは一番に考えています。なんですが、今回も含めそういうことを意識しなくてもいい役回りなら、僕は相手の様子を伺うので、ものすごくだんまりするんです。それこそドラマ「ドラゴン桜」なんかは顕著で、クランクインの時に、何人かのグループで話しているんですけど、僕は誰とも話さず、少し離れた場所から話していることを聞いて、それぞれがどういうタイプの人間なのを把握してから接するみたいな感じでした。

――まずは様子を伺ってから、ちょっと話しかけてみると。

細田 そうです。だから「最初は何も喋らないから怖かったよ」とよく言われます。

――でも無口なイメージから、実は接しやすい人だったというギャップはいいですよね。

細田 話してみたらこんな人だったとプラスのほうに働いてくれるのはうれしいですよね。

――ドラマ版で出来上がった人間関係があるかと思いますが、劇場版で変化はありましたか?

細田 特になかったですね。撮影順も、ドラマを全部撮り切った翌日から映画の撮影に入るぐらいのスピード感でした。ドラマの雰囲気を維持したままじゃないと、いつもの二星ハイツの感じが出ないんじゃないかなというのがあったので、余計なことは何もしなかったです。それに映画に関しては、優斗さんが自分の問題と向き合って、それを解決するための心情の変化や過程が描かれているので、僕らから何かをする訳ではないんですよね。優斗さんが自分で働きかけるので、そういう意味でも僕らは余計なことをしないほうがいいのかなと。雰囲気もドラマで出来上がっているものがあるから、今さら映画で苦戦することもないよなと、気にせずにやっていました。

――「ねこ物件」を通して、自分の中で新しい発見はありましたか?

細田 シェアハウスが向かないということを知りました。気を遣っちゃうので難しいですね。あと1ヶ月半もの間、ずっと猫を近くで見られたので、猫ってマイペースな生き物だなと気づかされました。人間の社会だとマイペースってどちらかというと悪い方向に捉えられがちで、わがままだったり、自己中だったりする。でも、猫はそんなことを知らずに、気の向くままに生きている。その姿を見ていると、自分もそういうことができたらいいなという羨ましい感情と、周りに言われることなんか気にしすぎず、自分を大切にしていいんだろうなという気づきがありました。

――シェアハウスのメンバーそれぞれの印象を教えていただけますか?

細田 まず優斗さんは、いつもはしゃいでいるメンツを静かに見ているというイメージで、年齢がちょっと僕らより離れているので一番大人でした。丈さんは、いつも明るくてハキハキしているんですよ。スイッチがあるというか、仕事の時は仕事、みんなが悪ノリしている時は悪ノリするというのがはっきりされているので、すごく接しやすかったです。

――メンバーの中では盛り上げ役ということでしょうか?

細田 丈さんは準盛り上げ役ですね。本当の盛り上げ役はファンくんと毅で、基本的におちゃらけてました。ファンくんが毅に気を許していて、いい意味ですごく生意気なんですよね。ファンくんのほうが僕よりも年上ですけど、なんでもかんでも言い合える仲間。毅はしっかりしなきゃいけない位置にいるんですけれども、メンバーの中では誰よりもふざけるんです。たまに今このタイミングでふざけて大丈夫なのかなと思う瞬間もありました(笑)。

――「基本的に人見知りが多い」と仰っていましたが、突破口を開いた方はいたんですか?

細田 いなかったですね。強いて挙げるなら、やはり猫じゃないですかね。壁があった状態から、猫のおかげで壁が砕けて緩くなっていきました。この人は、こういうタイプなんだなと思っていたら、もう映画に入っちゃっていたみたいな感覚でした。