否定から入らず、一度受け入れた上で自分のアイディアを出してくれる山口龍大朗監督

――映画『人』は、幽霊になった父と子、その二人が見える母、というユニークな設定ですが、脚本を読んだ時の印象をお聞かせください。

吉村界人(以下、吉村) まっすぐで真摯な作品というんですかね。たとえば空が青ければ「空が青い」と表現するような作品です(笑)。

――吉村さんは不慮の事故で命を落とし、幽霊になった健一を演じていらっしゃいます。

吉村 生きている時と死んでいる時の心の変化は、そんなに大きなものはないですが、全体を通して儚さを出したほうがいいのかなと思っていました。監督からは「幽霊だけど親子に見えるように演じてほしい」と言われました。

――吉村さん自身、プライベートでご家族と話す時もそのような感じですか?

吉村 映画のように「あのやろう」とか、「ババア」というほど乱暴じゃないですが、友達に近いというか、テンションはちょっと似ているかもしれません。家族には「これ言ったらどうしよう」みたいな遠慮ってあんまりないじゃないですか。信頼し合っているという空気感で会話するよう意識しました。

――九十九里浜でのロケはいかがでしたか?

吉村 キレイでしたね。カメラマンの方の撮影した映像もすごく綺麗でした。ただ、海は好きだし気持ちよかったけど、撮影が12月だったので、めちゃくちゃ寒かったです。

――母親役の田中(美里)さんの印象はいかがでしたか?

吉村 とてもお芝居がお上手で、経験も豊富。エネルギーがみなぎっている方だなと思いました。

――最後のシーンは切ない余韻があって、グッときました。

吉村 僕はその場にいなかったのですが、監督は現場で泣いていたそうです。

――山口龍大朗監督の演出はいかがでしたか?

吉村 すごくやりやすかったですね。ちょっと外国人っぽいというか「なるほどね。そういう感じもいいね、じゃあこういうのはどう?」って、一度受け入れてから自分のアイディアを出してくださって、否定から入らないんです。

――吉村さんは撮影の現場でも自分から積極的に提案されるそうですね。

吉村 「こういう感じはどうですか?」と芝居をしてみて、ジャッジを見ながら「違うんだ」「ああ、これはいいんだな」という感じで進めることはありますね。

――改めて映画『人』をティーンにアピールしてください。

吉村 家族の絆って言うと、安い言葉になっちゃうんですが……ネット社会であっても、生身の人間同士で喋ってみて分かることもあります。死生観にしても結構みんなが持っているものだと思うし、家族っていいものだなって思える……でもやっぱり安い言葉になっちゃいますね(笑)。笑える家族の話として受け入れてもらえたらいいんじゃないかなと思います。