百人一首とワンマンライブの脚本がシンクロした

――配信シングル「辛夷(こぶし)のつぼみ」のコンセプトを教えてください。

田中雅功(以下、田中) 百人一首のひとつに“瀬をはやみ”(瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ)という歌があって。大きな川に大きな岩があって、その岩があるから川の流れは別れちゃうんですけど、岩はずっと続いているものじゃなくていつか終わりが来るもので、また1本の川に戻るという情景で、出逢いと別れを表しています。僕がこの歌がすごく好きというのが前提にあるのですが、今年の4月に「春しめじのお花し 二冊目」というワンマンライブをやりまして、お芝居と歌で一つのストーリーを完結させるという演出で、「もしも僕ら、さくらしめじが解散をしたら」という内容をやりました。

――百人一首は昔から好きだったのでしょうか?

田中 中学生ぐらいの頃から百人一首が好きでずっと読んでいたんです。高校1年生の時に自分一人で作った曲も百人一首がモチーフでした。「春しめじのお花し 二冊目」というライブは去年の4月にもやって、シリーズ化しようとしているんですけど、1本目は壮大に、ファンタジー寄りの話を書いたんですね。今回は20歳になったこともあり、リアリティーのあるものにしようと。僕たちが離れ離れになることは、今のところ全く無いんですけど、「別れと出会いのストーリーって、僕が好きなものに似ているな、なんだっけ」と考えたら、ずっと好きだった百人一首だった。脚本を書いている時にシンクロした感じです。

――作曲も二人が担当されています。

髙田彪我(以下、髙田) 「辛夷のつぼみ」は曲先行で作った楽曲なのですが、劇中の中でクライマックスの一番良いシーンに歌う曲なので、責任重大で。どうしようかと悩みに悩みまくって、絞り出した曲なんです。歌詞を見せてもらった時に、百人一首がテーマというのは、非常にガク(田中雅功)っぽさが出ているなと思いました。そして、百人一首らしさを出しすぎないというか。この歌詞は色々な捉え方ができると思うんですよ。恋愛や友情や仲間、様々な別れを描きながら、「これから希望に向かって進んでいこう」という勇気がもらえる歌詞で。ガクの繊細で優しい心がすごく出ている言葉たちだなと思いました。