環境の変化でメンバー同士がすれ違った時期も。結成10年でも“変わらない”三人のよさ

――2012年8月の結成から10年。これまでの歩みを振り返る中で、三人の関係性に変化はありましたか?

U 変化した時期はありました。2014年から2016年7月にメジャーデビューするまでの期間でしたね。事務所に入って、プロとしてやっていく中ではそれぞれの役割が生まれてくるんです。曲を仕上げるまでに納期が生まれたり、環境も変わっていくと「ただの友達同士ではいられなくなる」と分かっていくし、その状況に寂しさをおぼえるタイミングもそれぞれ違うから、少しずつたがいの感覚がズレていったのかなと思います。僕自身、REIとMASATOから「Uさん変わったな…」と思われているだろうという時期もあったし、ご飯へ行くこともなくなり、ライブのためだけに集合していた時期もありました。

REI 友達だけど前とは違う、みたいな。寂しさを感じる時期はありましたね。でも、どうすればいいか分からず、もどかしかったです。純粋に他のみんなのことも、音楽のことも好きで活動を始めたのに、プロとしてやるべきことが積み重なっていくうちに、元々あった思いが崩壊するかのような感覚を味わったときもあって。今振り返ると、自分自身の経験値も足りなかったのかなと思います。

MASATO 社会にもビジネスにもふれたことがなかったから。僕は、UさんとREIに魅力を感じて、二人と一緒に音楽をすることが一番大事だったから、音楽で食っていくために自分たちの環境が変わっていった時期は「何のために音楽を始めたんだろう。楽しくないとやっている意味もない」と悩みましたね。上京した当時の気持ちがブレ始めて、辞めようと思ったこともあったんです。ただ、周りに「音楽を仕事にするためには通らないといけない道だし、それを分かってくれている他のメンバーに感謝しないとこの先食べていけないよ」と言ってくれる知り合いがいて救われました。

――関係性が変化した時期もありながら、10年以上も活動を続けてきてよかったと思うことは?

U 今、音楽がめっちゃ楽しいんです。メジャーデビュー後は、やりたい音楽との違いに葛藤をおぼえて曲づくりが上手く進まない時期もありましたけど、10年以上も活動を続けてきたからこそ乗り越えられたものもあったし、この三人で音楽と向き合えているのが本当に楽しいです。不思議なんですけど、一周して結成当時に戻ったような感覚ですね。11年目へ突入しますが、応援してくださるファンの方々はもちろん、親や地元の仲間、事務所のスタッフさんと、これまでお世話になった方々への恩返しもしていきたいです。最近、インスタグラムのストーリーで「Uの友達です」と言ってる地元の友達がいると知って、うれしかったんですよ。そうしたことも10年かかってようやく味わえるようになってきたので、もっと恩返しをしていければと思います。

MASATO 10年間を振り返ると、この仕事のおかげで出会えた人もいるし、小さな幸せを感じることもたくさんあったなぁ、と。地元の友達に胸を張って会えるようにもなりましたね。でも、一番大きいのはやっぱり、UさんやREIさんと友達に戻れたことかな。今日もインタビューが終わったあと、みんなで一緒に「ご飯を食べにいこう」と言っていて(笑)。Uさんが「一周して結成当時に戻ったような感覚」と言っていましたけど、すべてを受け入れられるようになったからこそ今「戻れているんだな」と思います。

REI 音楽を仕事にしていますけど、音楽ではない部分もやっぱり日々の積み重ねだと思うんです。一人だったらここまで続けてこられなかったし、結成当時のようにUさんとMASATOが頑張っているから、僕も「今日も頑張ろう」と思っていますし。たがいの信頼感を感じながら、地道に一歩ずつ進んでいる感覚は10年経った今でもありますし、このメンバーでよかったなと本当に思います。

Information

デジタルシングル『Start Over』
(テレビ朝日系木曜ドラマ『六本木クラス』挿入歌)

配信サイト

THE BEAT GARDEN

アーティスト

2012年8月1日に大阪で結成した、作詞作曲も手がける3ヴォーカルグループ。メンバーは、MASATO、U、REI。2016年7月リリースの1stシングル『Never End』でメジャーデビュー。2019年5月に初の全国7箇所を巡るツアーを開催し、チケットは全公演即日完売。MBS/TBSドラマ『都立水商』の主題歌『ぬくもり』や、映画『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の挿入歌『スタートボタン』など、タイアップも多数。2022年5月から7月にかけて、全国17箇所を巡ったツアー「in your tour 2022」を完走。精力的に活動を続ける。

Photographer:Tomoaki Isahai,Interviewer:Syuhei Kaneko