いろんな人に「いいね」って言ってもらえて、「これでいいんだ」と思った

――ここからはDJとしての仕事についてお聞きします。昔から音楽に興味があったとのことですが、歌手の道は考えていたんですか?

矢部 パパがめっちゃ音痴で、パパの歌を聴いた瞬間に、「私は歌っちゃダメだな」と、小学生くらいのときから思っていました(笑)。

――DJを始めたのは矢部さんが20歳になる2018年頃からですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

矢部 歌手はダメでも、音楽は好きだから何かできることはないのかなとずっと考えていて。大学を辞めてからバイトを始めた時、音楽のある場所で働きたくて、音楽ライブとか、イベントもできるハンバーガー屋さんで働いていたんです。それからいろんなDJさんを見るようになって、自分もやってみたいなと思って始めました。最近は現場で、当時バイト先でライブをしていた人とかに「あのときバイトしてた子⁉」みたいな感じで会うんですよ。それがまた楽しいです。

――DJとしての活動は事務所も後押ししてくれたんですか?

矢部 それこそアソビシステムにはDJさんがいっぱい所属しているから、「DJ始めたよ」って言ったら「イベントがあるから、ここまでにしっかりやりなさい」と言っていただいたりして。たぶん、事務所の存在がなかったら無理だったと思います。

――DJとしてプレイしている動画を拝見しましたが、チル曲などクールダウン系が好きなんですか?

矢部 最近はもうジャンルの幅が広がって、ハウスやテクノも聴くようになりましたけど、一番好きなのはそこですね。日本語ラップにメロウな感じとか、クラブというと激しいっていうイメージが強かったんですけど、そうじゃないDJさんもいるんだということに気づいた時に、「自分もそういう感じでやってみたいな」と思ったんです。

――テンションを上げることだけがDJじゃないと。

矢部 何でもアリというか、このスタイルでやっていて、いろんな人に「いいね」って言ってもらえたから、「これでいいんだ」と。音楽が好きな人はお互いに通じ合えるからよかったって思います。

――YouTubeでの活動は今後、どんなことを考えていますか?

矢部 それこそYouTubeを始めるときは「古着」をキーワードにしたのが良かったなと思っていて、「古着が気になるけど、買ったことない」「どこのお店に行っていいのかわからない」という方が私の動画をきっかけに古着にハマったり、お店にもそういう子が来てくれたりするので、人のためになる、そういう動画を配信していきたいと思っているので、みんなの生活の隣にあるくらいの感覚でやりたいですね。

――それこそ矢部さんが脱毛症だということを公表した際は、多くの反響が寄せられたとお聞きしました。

矢部 脱毛症のときは反響がすごかったんですよ。「こんなに?」っていうくらいDMが来ました。「どこの病院に行って、どんなお薬をもらえばいいですか?」「何の薬を使っていますか」とか、こんなに悩んでいる人がいるんだと思って。でも、私自身はハゲたときもあまり悩まなかったので、「ウィッグを買えばいいんじゃないですか」みたいなテンションでいたんです。

――人によって受け止め方が全然違ったんですね。

矢部 自分のやり方が全てではないけれど、「私はこういう感覚です」というのは共有する。それで元気をもらえる人がいるのであれば、よかったと思います。

――では最後に、進路に悩んでいる10代の方々にエールを送るとしたら、どんな声をかけますか?

矢部 とりあえず、自分がやりたいことや好きなことを見つける。あとは行動力だと思います。柊人さんの『好きなこと』という曲に、「どうしようもねぇ時こそどうにかなると言い続け、どうせ無理と言われたってどうにかやり遂げるまで、終わりのない旅路ならば、笑い合える日々を増やしたい。コツコツが勝つコツ」という歌詞があって、めちゃくちゃそうだなって思います。どうしようもない時こそ「どうにかなる」って言い続けたらどうにかなってきたし。人生はどうにかなるから突き進めと思います。

――深く考えても仕方がない、そういう気持ちも時には大事だと思います。

矢部 自分の今後の未来はわからないけど、人生ってどうにかなると思うから。「こういう人間もいるよ」という感じで受け取ってもらえたらなと思います。

矢部ユウナ

モデル&DJ&YouTuber

1997年10月30日生まれ、静岡県出身。2013年に雑誌「Zipper」の専属モデルオーディション「Zipper×ASOBISYSTEM専属モデルオーディション」で数千人の中からグランプリを獲得し、翌日から「HARAJUKU KAWAii!! FES 2013」でモデルとして活動をスタートさせる。2016年11月からはYouTubeチャンネルを開設し、自身のファッションやライフスタイルなどを発信。2018年からはDJとして数々のイベントにも出演しており、多方面で活躍している。ASOBISYSTEME所属。

Photographer:Yu Tomono,Interviewer:Tetsu Takahashi