「来たものは全部受ける!」というスタンスで取り組んだ

――平井亜門さんとW主演を務めた『神田川のふたり』は、お互いに恋心を抱いているものの、なかなか気持ちを伝えられない高校生の男女が久しぶりに再会して、24時間を共にする青春映画ですが、冒頭から長尺の長回しで圧倒されました。

上大迫祐希(以下、上大迫) クランクイン前に長回しと聞いて、「どこがどう長回しになるのかな」と思っていたんですが、予想以上に1シーンが長くて。脚本では数行のシーンでも、実際にロケ地でリハーサルしてみたら、結構な距離があることが分かりました。

――アドリブのような生々しい会話が続きますが、どこまでがセリフだったんですか?

上大迫 コンビニに行くまでの間は台本にも多少セリフがあったんですけど、おにぎりを食べ終わったあたりからは、ほぼアドリブです。しかも、おにぎりをすぐに食べきる予定だったのが、食べるのにすごく時間がかかってしまって、智樹(平井亜門)を待たせてしまいました(笑)。

――セリフだけではなく、行動もアドリブ的要素が強いですよね?

上大迫 そうなんですよ!監督から、「ちょっと楽しそうに踊ってみて」「ここで歌ってみる?」とか、突然現場で指示を受けたので、食らいつくのに必死でした。何があっても、「来たものは全部受ける!」というスタンスで取り組みました。

――上大迫さん演じる舞と智樹は自転車で移動しますが、カメラマンさんはどのように移動していたんですか?

上大迫 自転車の荷台に木箱みたいなものをセッティングして、一人が漕いで、背中合わせでもう一人が座って撮影をしていました。坂道で、かなりカメラも揺れるから、カメラマンさんが一番大変そうでした。カメラマンさんのスピードもあるので、私たちもあまり速度は出せなくて、力加減を調整しながら走るように意識しました。

――神田川沿いをひたすら移動していきますが、一般の通行人も通る訳ですよね。

上大迫 たくさんすれ違いました。他のキャストの皆さんは、なるべく通行人が映らないように、カメラが向いたタイミングで位置を調整していたんですけど、基本的に私はずっと映っているので、調整することができないんです。あと途中で他校の女の子からジュースをもらって飲むシーンがあるんですけど、その時に智樹から電話がかかってきて、すぐに智樹のいる下高井戸八幡神社に向かいます。そのためには、ある程度ジュースを飲んでおかないと自転車のかごに置いた時にこぼれちゃうので、必要以上にがぶ飲みして、おなかがぽちゃぽちゃな状態で向かったりして、なかなかの体力勝負でした。

――実験的な撮影方法ではありますが、ストーリーは明快で、なかなか思いを伝えられない舞と智樹のやり取りが中心にあって、実際の恋愛のようにリアルでした。

上大迫 あの年頃のリアルな距離感というか、相手のことが好きだけど、うまく踏み込めない、みたいな感じは学生時代の恋愛そのものだと思います。告白シーンがキラキラし過ぎてないのもリアルでしたね。