年齢を重ねて愛情表現ができるようになる
――いまおかしんじ監督の演出はいかがでした?
平井 独特な演出をする監督さんです。メインキャストじゃない役者さんにキャラクター性を付け足す時に、いきなり「パオーン!って、ここで言って」とか、聞いたことのないような演出をされていました。その場で、これを言うんだ!みたいな。それは面白かったですね。あとバンドマンの役の方に、指をパチンと鳴らして台詞を言わせていますが、そんなことなかなかやらないですよね(笑)。
――即興の演出に驚く役者さんもいるでしょうね。
平井 そうですね。やっぱりギョッとしますから。脚本にはないセリフや行動で、自分の中で腑に落ちて演じる役者さんもいれば、分からないまま演じる役者さんもいて、それに対して僕も茶々を入れたりして(笑)。
――ちょこちょこ平井さんは突拍子もない展開にツッコミを入れていましたよね。
平井 僕の役が一番普通ですよ(笑)。神様にもめっちゃツッコんでいましたから。
――W主演の上大迫さんにはどんな印象を持たれましたか?
平井 以前、朗読劇で共演したことがあり、その時は声がすごくいいなという印象でした。今回は、いまおか監督の無茶ぶり演出に対しても、「やります!」という態度で臨まれていて、真っ直ぐというんですかね。僕はひねくれているから、それをするためにはもっとこうしなきゃいけないんじゃないかとか、いろいろ考えちゃうんです。でも上大迫さんは、あまり頭の中でこねくり回さずに、すっとできちゃうところがすごいなと、近くで見ていて思いました。
――平井さんは上大迫さんの5歳年上ですけど、全く年齢の差を感じさせず、違和感なく高校生カップル感が出ていました。
平井 高校生だった頃の気持ちを思い出しつつ演じてみました。あとビジュアル的な要素として、青ひげにならないように、ひげはちゃんと抜いていきました(笑)。
――智樹はぶっきらぼうに舞に告白しますが、平井さんご自身も学生時代はそういうタイプでしたか?
平井 そうですね。やっぱりこっ恥ずかしいので。特に高校時代って告る時にふざけちゃうじゃないですか。親に対する感謝とかもそうですけど、若い時は素直に想いを伝えられなくて、年齢を重ねて愛情表現ができるようになるんですよね。年を取ったら、好きなら好きと言えちゃうんですけど、10代は引っ掛かりがあるのかなと思います。