大人の青春を感じる作品

――映画『異動辞令は音楽隊!』では、阿部寛さん演じる、犯罪捜査一筋の鬼刑事・成瀬司の一人娘役、法子を演じていらっしゃいます。オーディションを経て法子役に選ばれた時のお気持ちはいかがでしたか?

見上愛(以下、見上) すごくうれしかったです。「どことなく顔が似ていて、阿部さんと本当の親子みたい」とも言っていただいて、この顔立ちで良かったなと思いました。オーディションは映像審査があったので、中学、高校時代にバンドをしていた時の動画を送りました。実際に監督にお会いしてからは、阿部さんの代理の俳優さんを、自分のお父さんに見立てて「自分が座りたい場所にお父さんが座ったらどうする?」とアドリブを見るようなオーディションでした。お父さんに対する私自身の反応を見たかったのだと思います。

――興味深いオーディション方法ですね。内田監督とのお仕事はいかがでしたか?

見上 勉強になることが多かったです。これまで役柄に対して「自分だったら」みたいなことはあまり考えていなかったんですけど、現場で「阿部さんを自分のお父さんだと思って、お父さんにされたことをどう思うか、自分に結びつけて考えてみて」と言われて、新しい発見になりました。内田監督とは現場で音楽の話もしました。私がたまたまSlipknotというバンドのTシャツを着ていたら、「Slipknot好きなの?」と。「そんなに詳しくないんですけど、バンドは好きです」と、そこからお話しするようになりました。

――本作は内田監督のオリジナル脚本です。読んだ時の感想をお聞かせください。

見上 「キラキラしていていいな」と思いました。大人の話だけど、すごく青春を感じたし、実際に映像になったら、ものすごくエネルギーがあるものになるんだろうなと撮影前から楽しみにしていました。最初はバラバラだった音楽隊のみんなが、色々な試練を経てまとまっていく、とても魅力的なお話だと思います。

――完成した作品をご覧になっていかがですか?

見上 想像以上に感動して、グッときました。最後の演奏シーンの撮影現場にはいたんですが、ステージが遠かったので、お父さんの顔はしっかり見えても、一人ひとりの表情までは見えなかったんです。こんなに一生懸命楽しそうに弾いてらっしゃったんだ!と思いました。

――現場での迫力が伝わって来るほどの、映像シーンでした。

見上 すごかったです。撮影前に「ちょっと合わせてみよう」って、弾いた時点で素晴らしくて。「皆さん、本当に最初は楽器が弾けなかったんですか?!」と驚きました。

――阿部さんとの共演で、印象に残っていることを教えてください。

見上 阿部さんとは言葉を多く交わしたわけではないのですが、背中でいろいろ語ってくださるタイプだと感じました。私の演技が上手くいかずテイクを重ねてしまったシーンも、嫌な顔ひとつせずに常に100%のお芝居してくださって、すごく素敵でした。

――祖母役の倍賞美津子さんとのシーンも多かったですね。

見上 阿部さんも倍賞さんも、本当に現場がお好きなんだろうなと感じたし、演技をとても楽しんでいらっしゃる姿勢が素敵だなと思いました。倍賞さんはすごく気さくな方で、たくさん話しかけてくださったり、飴をくださったりしました。

――どんなお話をされましたか?

見上 本当にたわいもない話なのですが、その場で起きたことなどを、コソコソって、倍賞さん目線で楽しく話してくださったり。現場ではスタッフさんを含め、遠慮して物が言えないという雰囲気はなく、倍賞さんからも「こうしたらもっと面白いんじゃない?」と、どんどん意見が出て来て、意見交換しながら撮影が進んでいきました。

――本作で特に好きなシーンを教えてください。

見上 成瀬(阿部寛)の家で楽器を演奏しながら、春子(清野菜名)が「こういうのをセッションって言うんですよ」って教えるシーンがすごく好きです。音楽の楽しさというのが溢れている瞬間だなと思います。

――法子と同様、見上さんもバンド経験者ですが、今も楽器に触れていますか?

見上 中学高校時代はちゃんと弾いてたんですけど…それ以降は家で時々弾くぐらいです。

――今回の撮影に向けて、また練習されましたか?

見上 焦って、弾き始めました(笑)。今まで弾いたことのないフレーズの曲だったので、指を慣れさせるために練習しました。プロなら、そんなことも関係なく弾けると思うんですけど、そこが難しかったです。それっぽくは弾けたと思うのですが、ちゃんと法子のバンドが好きな部分が出ていたらうれしいです。