声だけでいろんな役をやってみたいという思いが強い

――アニメ映画『夏へのトンネル、さよならの出口』でヒロインの花城あんずを演じていますが、もともと声優をやりたい気持ちはあったんですか?

飯豊まりえ(以下、飯豊) ありました。子どもの頃からアニメをよく見ていたので、声優は夢のまた夢でした。『夏へのトンネル、さよならの出口』はオーディションだったんですけど、チャンスが目の前にあるなら掴みたいと思って挑戦しました。声だけでいろんな役をやってみたいという思いが強いので、今後も積極的にチャレンジしていきたいです。

――今回の脚本を読んで、どんな役作りを意識しましたか?

飯豊 観ている人が、「あんずはどういう子なんだろう?」と不思議に思うような、掴みどころがない感じにしたいと思いました。話が進むにつれて、心を閉ざした理由も分かるようになるのですが、あんずは正義感が強くて、冗談が通じないみたいなところもあって。アニメーションになったら、すごく可愛らしい、愛すべき女の子になるだろうと思ったので、人使いが荒いところとかも、嫌われないように演じました。あとクールで冷徹な部分もある、芯が強い女の子なので、そこも意識しました。感情がバッと出てしまう以外は、何を考えているか分からない雰囲気で淡々としゃべってみたり、会話のテンポを詰めてみたり。あんまり人と交わらない女の子を表現できるように意識していました。

――俳優との違いはありますか?

飯豊 声優のお仕事は、映画やドラマのお芝居とはアプローチの仕方が違うので、キャラクター作りという点では、最初に主人公の(塔野)カオルと出会った時と、ちょっと自分の感情がポロっと出てしまう瞬間の声のトーンを少し変えてみたりしました。そこが自分の中でこだわったポイントです。

――過去にも飯豊さんは声優のお仕事をなさっていますが、最初の頃は戸惑いもありましたか?

飯豊 アニメは映像ができてないラフの状態で声当てをするので、イマジネーションも大事です。ただ私は声優のお勉強をしたことがなかったので、目の前にマイクがあるのに、遠くの人に向けてしゃべるアプローチなど、現場を経験して、徐々に慣れていきました。声優のお仕事は、雨とか天候とかに左右されなかったり、良い環境だなと思います。

――どんなところに声優のやりがいを感じますか?

飯豊 表情を気にすることなく、声で感情を高ぶらせることができた時です。以前、朗読劇で声優さんと共演させていただいたことがあったんですが、悲しいお話が題材で、お互いに泣きながらセリフを言い合う時に、私はすごく感情が高ぶっちゃったんです。お相手の声優さんは言葉を伝える力が上手で、あんなに感情を動かされたのは滅多にありません。ところが隣を見たら、声優さんは一切涙を流してなかったんです。そのスキルの高さにびっくりしました。声も操ることができて、お芝居もできたら、すごい強みになるだろうなと思って、憧れと尊敬を抱きました。