音楽と一緒に成長していく姿が素敵な作品

――『悪魔とラブソング』のオファーを聞いたときの気持ちはいかがでしたか?

飯島 高校を舞台にしたお芝居が初めてでしたし、僕の演じた目黒伸は17歳で、今まで自分がやった役の中で最年少だったのでワクワクしました。最初は普通の恋愛物なのかなと思っていたのですが、脚本を読んだら人間の成長ドラマで、美しさだったり、寂しさだったり、いろんな要素が含まれていて、演じるのが面白そうだなと思いました。

――違和感なく17歳という役に入っていけましたか?

飯島 はい。若作りはしっかりしようと気合いを入れました(笑)。

浅川 最初に原作を読ませていただいて、私の演じる可愛マリアが他の生徒たちから「かわいい」「キレイ」「モデル」みたいと言われているシーンを見て、「あ、痩せなきゃ」と思いました。初の連続ドラマ主演ということで、自分にとってすごく大きな作品になると思ったので、早い段階から数か月かけて地道に体重を落としていきました。その期間にも、他の作品が入っていたんですけど、頭のどこかには常に『悪魔とラブソング』がありました。

――原作を読んだ印象はいかがでしたか?

浅川 美しくてキレイな世界観で、なおかつ音楽と一緒に成長していく姿が素敵だなと思いました。原作は後半になると、かなり重い内容で意外な展開が待っています。ドラマはどこを切り取るのか気になっていたんですけど、脚本を読ませていただいて「なるほど」と思いました。十年前の作品を令和の今に合わせてアップデートしつつ、『悪魔とラブソング』の世界観を崩さない脚本になっていて、演じるのが楽しみでした。

――飯島さんは普段から少女マンガを読まれますか?

飯島 読まないですね。日常で言わないようなセリフが多かったので、最初は違和感があったのですが、それをどう自然に、それでいて強い言葉で言えるかを考えました。原作と脚本で多少違うところもありますし、もちろん原作を尊重しなくてはいけないのですが、せっかく主演であるからには、原作者の期待を超えて、嫉妬させるくらいの演技をしようという気持ちでやっていました。

――飯島さんは、ピアノ経験はありましたか?

飯島 全く無くて、イチから始めました。作業的に弾くのはそこまで難しくはないのですが、問題はその先で。音楽性を追求していかないと音に乗らないんです。たとえばショパンの曲を弾くにしても、人によって全然色が違いますし、音に人間の感受性が出ます。目黒の心の変化を音で表現するのは大変でした。

――浅川さんは、歌のシーンはいかがでしたか?

浅川 クラシック曲で、オペラの歌い方なので、イチから始めました。呼吸から全く違います。最初は歌詞の意味を何となく理解しつつ、オペラの歌い方をマスターすることに集中しました。それができたら、そこから引き算をしてマリアの歌い方を考えて、シーンに応じて、どこに感情を入れるかなどを構築していきました。そもそも歌に関しては苦手意識が強かったんですけど、先生やスタッフさんのおかげで、撮影が終わるころには好きになっていました。