エンディングですべてが明かされ、2度目の鑑賞ではまた違う様相を帯びる物語
挨拶が済むと、さっそく司会者から本作の想定外のラストに関しての質問が飛んできた。
大西は「初めて台本を読んだ時は『これをどう表現するんやろ?』っていう驚きがあったんですけど、いざ試写会で完成品を観て、『監督が作りたかったのはこういう作品だったんだな』って、ドーンとスクリーンから伝わってきたので、むちゃくちゃゾクゾクしましたし、正解を見つけられた感じがしてうれしかったですね」と声を弾ませた。
さらに「撮影当時はまだ幼さがあったんですけど、キャスト・スタッフの皆さんと一緒に撮影に挑んだ思い出がよみがえってきましたね」と、大西は懐かしそうに振り返る。
本作は衝撃のラストもさることながら、物語の随所に不穏な要素が散りばめられているのも特徴。南は撮影に入る前に台本を読んだ時点から、「このあとどう展開していくんだろうと思いながらページをめくっていました」と作品の世界観に没入したと語り、「出来上がった映像を観て、より不穏さと緊張感が増していて楽しかったです」と、完成度の高さに思わず目を見張る。
主人公の妹・窪月は顔に火傷を負って白いマスクを被っているという設定で、仮面を外すシーンは劇中でも特に印象的に描かれている。月を演じた渡辺は劇中同様、白い仮面を被った状態でステージに登場したが、トークセッションでは仮面を外して可愛らしい笑顔を見せた。
渡辺は「お二人に優しくしてもらいました」と撮影現場の思い出を楽しそうに振り返る。「(南)沙良さんが大好きだったので、クランクアップの日に悲しくなって泣いちゃったんですけど、『また逢えるからね』と慰めてくれて、今日また沙良さんに会えたのでとてもうれしいです。大西さんとは撮影の合間に私が暇そうにしてたら、『手遊びする?』って声をかけてくれて、一緒に“ずいずいずっころばし”で遊んでくれました」と、南と大西の優しいお兄さん、お姉さんぶりに感謝の言葉を述べる。大西も「緊張がほぐれていたらいいなと思っていましたね」と照れ笑いを浮かべた。
片岡監督は「本作を鑑賞するにあたって着目してほしいポイントは?」と聞かれて、「劇中の舞台となる窪家の自宅には鏡がなくて、洗面所には鏡が外れた跡があったり、窓がすべて曇りガラスだったりします。ラストでその謎が明かされるんですけど、それを知ったうえで2回目を観ると『ああ、こういうことなんだ』と、より楽しめるようになっています」と説明。本作では鏡以外にも随所にさまざまな謎や不穏な要素が細部にわたって散りばめられており、2度目の鑑賞でまた違った印象を与える内容となっている。