遊んでいるうちにやりたいことが浮かんでくることもある
――lol-エルオーエル-の結成は2014年9月ですが、どのぐらいのタイミングで言われたんですか?
佐藤 かなり直前で、確か結成まで3か月なかった時期です。僕がエイベックスに入って1年後くらいにオーディションがあって、ポンポンと合格者が決まって、「この5人で行きます!」と。それまでダンスのスキルもなかったので、振り覚えには特に苦戦しました。コンプレックスというほどでもないんですけど、僕はダンスに苦手意識があって。最初はついていくのに必死でしたね。
――ダンスの苦手意識を克服できたのはいつ頃ですか?
佐藤 いまだについていけてないです(笑)。振り覚えは一生早くならないです。でも、何とかやれています。
――グループを始めて特に良かったことは?
佐藤 寂しくなかったことですね。常に誰かがいる状況だったし、グループ活動しているほうが、いろんな感情が生まれてきて、人の気持ちを考えられるようになりました。
――俳優のお仕事もlol-エルオーエル-の活動と並行して行ってきました。
佐藤 俳優業はlol-エルオーエルを結成する前から、ちょくちょくやっていたんですが、本格的にやらせていただいているのは今年からです。演技に力を入れたい気持ちはずっとあったので、うれしいですね。
――今年は映像作品に次々と出演していますが、過去には大きな舞台にも出ています。
佐藤 2019年に出させていただいた「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」という舞台は、自分にとって大きな作品です。寿命が縮まりました(笑)。
――つかこうへいさんが書かれた戯曲で、1970年代から幾度となく上演され続けている舞台ですからね。
佐藤 歴史もありますし、キャストが4人だけで、上演時間は約2時間半。この舞台で、演技への向き合い方や、舞台に立つ上でのモチベーション、心の持ちようみたいなものを学びました。セリフの量も尋常じゃなかったので、長いセリフも相当鍛えられました。その時に共演したNON STYLEの石田明さん、味方良介さん、今泉佑唯ちゃんに、本気でぶつかって、毎日のように声を潰して演技論を語り合っていましたし、戯曲の舞台となった昭和の時代みたいでした。
――舞台は生物なので毎日変化があって、お客さんの反応も直で見えます。
佐藤 コンディションや気持ちに左右されて、集中できる日とできない日があるんです。僕の場合、友達が来た回は、特に意識が分散しちゃって。共演者のセリフを受けて、すぐに反応しなくちゃいけないシーンで、上手く反応できなかったことがありました。その時に「人間の集中力ってこんなに脆いんだな」と気づきました。でも、集中できたと実感できた日は、泣いて感動してくれるお客さんもいて、僕自身も感動して。そういう心の動きって共演者同士で分かるんですよ。終わった後に、「今日のお前やばかったよ」「今日のお前集中していなかったな」と言い合うのも楽しかったです。
――先ほどもお話しに出た「不幸くんはキスするしかない!」ではドラマ初主演を飾りました。
佐藤 もちろんプレッシャーはありましたが、曽田陵介くんとW主演だったので、カバーしてもらえたのが大きかったです。
――篠宮直哉を演じる上で、どんなことを意識しましたか?
佐藤 とても人気のあるコミックが原作なので、原作ファンの方にも認めてもらえるように原作をリスペクトして、篠宮というキャラクターをたくさん研究してから挑みました。SNSを通じて「演じてくれてありがとうございます」というコメントを目にしたり、イベントに来てくれる方がいたり、予想以上に反響があったので、改めてやって良かったなと思いました。
――最後に進路選択を控えているティーンにメッセージをお願いします。
佐藤 若いんですから、今やりたいことを優先してください。それが結果として失敗に終わっても、いくらでもやり直せると思うんです。だから恐れないで、まずは自分のやりたいことを全力でやってみる。やりたいことがないんだったら、いろんな経験をしてみると、やっていくうちに何か見つかると思います。無気力でいることも悪いことではないんですけど、無気力だから何もやらないというのは自分の時間を無駄にしちゃうので、まずは何かやってみる。それは遊びでもいいんです。遊んでいるうちにやりたいことが浮かんでくることもありますから。「時間を無駄にしないで」と言ったら、ちょっと堅苦しいですけど、年齢を重ねると、「あの時間をもっと有効的に使っておけばよかったな」と思うことが絶対にあると思うんです。僕もプライベートでアクティブに動くタイプではないんですけど、楽しみながら自分の時間を大事にしてほしいですね。
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