自信がない状態で臨んだオーディション

――映画『夏へのトンネル、さよならの出口』で、飯豊まりえさんとともにW主演を務められました。声優のお仕事は初挑戦だそうですね。

鈴鹿 落ちるとばかり思っていたので、オーディションに受かったことに驚きました。色がついて、動いて、どんな世界になっていくんだろうと、とてもワクワクしました。アニメーションという、世界に誇れる日本のカルチャーの一つに携わることができて幸せでしたし、出来上がりの自分の声を聞いて「頑張ったね」と思えました。

――オーディションに自信がなかったのはなぜでしょうか?

鈴鹿 約3年半前、「アニメーション映画の声優さんのオーディションがありますよ」と声をかけていただいて、事務所で声録りをしたことがありました。でも挑戦してみたら、あまりにも酷くて、審査以前に送るのをやめようと。自分的にもちょっとトラウマのようなものがあったんです(笑)。

――脚本を読んだ時の感想はいかがでしたか?

鈴鹿 映画の台本とは形も違うし、厚さも2~3倍ありました。ト書きも細かく書かれていて、映画だと1シーン100くらいのところが、1000くらいありました。声を録ったタイミングでは画も完成してなかったですし、色も入っていないパラパラ漫画みたいな状態でしたが、僕らの声に合わせて絵を動かしてくれるという、優しい作り方をしてくださっていたと思います。自分の声で命を宿して、色が付いて、これからどうなっていくのかなと楽しみな気持ちになりました。

――声による表現と実写での表現。どのような違いがありましたか?

鈴鹿 声色だけ変えればいいわけでもないし、心が動いていないと聞いてくれる人にも届かない。ドラマや映画は人間として出られるのでいろんな表現方法がありますが、声だけとなると「何かをのせなければいけないのかな」などと思ったりもしたんです。でも、普段の芝居をする感覚で飯豊まりえさんと二人で声を入れていったら「生っぽい掛け合いの感じがいいです」と監督に仰っていただけました。

――花城あんず役の飯豊さんとの掛け合いのなかで、影響を受けたことはありましたか?

鈴鹿 飯豊さんの声は聞きやすくて、スーっとまっすぐ届く声をされているなと、隣で聞きながら思いました。僕が悩んだ時は、「こうしてみたら」「こういう方法もあるよ」とアドバイスもくださいました。

――演じる上で監督とはどのような話し合いをされましたか?

鈴鹿 走るシーンの声がたくさんあったのですが、「声優のお仕事をされている方とは、違う出し方をされますね。リアルで良かったです」と仰っていただけました。

――走る時の息遣いは、体を動かしながら出したのでしょうか?

鈴鹿 服の音や、余計な音が入らないようにしつつ、声を録る前に動ける範囲で、ちょっとした動きはしていました。

――台本をめくる音など、細かい音が入らないようにするのも大変ですよね。

鈴鹿 難しかったです。「そんな音まで拾っちゃうんだ。マイクってすごいんだなぁ」と思いました。