うららかな春を思い描いて仕上げた新曲。日常で印象的だった経験をメロディに反映

――新作の2ndデジタルEP『夢うらら』は、いつ頃から制作にとりかかったのでしょうか?

甲田まひる(以下、甲田) デビュー作の1stデジタルEP『California』をリリース(2021年11月5日)したあと、季節が冬から春に変わり始めた頃に作り始めました。自分の中ではだいぶ時間が経ったなと思うので、ようやくみなさんへ届けられるのがうれしいです。「California」はややダークな曲だったので、次回作は「明るくポップな雰囲気にしよう」と決めて。制作前には自分のデモを色々を聴いて「どんな曲にしようか」と考えましたけど、その中で「この感じがいいかな」と思えたのが今回の作品でした。

――軽快なイントロで始まる曲ですが、どのような世界観をイメージしましたか?

甲田 チアリーディングです。2番のAメロがそのイメージに近くて、生楽器の音色で元気な雰囲気に仕上がっています。制作過程では、最初に弾むようなベースの音色を作り、クラップの音を楽していったら自分なりにいい感じになっていったんです。じつは、初めは「クラップ」というタイトルにしていて。クラップの音からは「手を合わせて前を向いて行こう」というイメージも感じられますし、それをきっかけにチアリーディングの光景が浮かんできました。

――楽曲のテーマは何でしょうか?

甲田 タイトルにもある「夢」です。曲を作ったのが冬から春にかけての時期で、新生活を始める人たちのために、届けたいと思ったんです。私の中にあった「将来こうなりたい」とか「これからも歌い続けたい」という思いから、自分の背中も押せるような曲にしたい気持ちも込めて、テーマを決めました。

――タイトルの「うらら」は“ooh la la”と“麗(うらら)を掛け合わせた造語だそうですね。

甲田 先にメロディができあがって、歌詞を付けていく時に浮かんだのが英語の“ooh la la”だったんです。そこに、春に向けた歌にしたい思いを乗せて、うららかな春のイメージが浮かんできたので“麗”を掛け合わせようとひらめきました。「夢うらら」の言葉からはキラキラしたイメージも感じられますし、自分が今回の曲で描きたかった世界観に合っているなと思ったので決めました。

――後半のパートでは、自作の別の曲を組み合わせたとうかがいました。

甲田 曲の制作中に受けたダンスレッスンで、ヴォーギング(※ファッション誌のモデルが取るポーズにインスパイアされた動きのダンス)の手振りを教えていただく機会があったんです。初めて踊ってみた時に、動作がカッコよくて印象に残ったのを受けて「ヴォーギングの曲を作ろう」と思い、その日に家へ帰ってから作った曲をあとから組み合わせました。自分がやりたいことを曲に取り入れられないかとは常に考えているし、何か印象に残る出来事を「曲にしたい」と思う時が日常的にあるんです。

――アーティスト、シンガーソングライターならではの感覚ですね。ちなみに、今回のデジタルEPには、甲田さんのルーツにもつながる「夢うらら」をジャズアレンジしたピアノバージョンとインストゥルメンタルバージョンも収録されています。どのような仕上がりになっていますか?

甲田 自分のルーツとして入れたかったのはもちろん、曲の解釈をより深めるためというねらいもありました。作曲はDTMソフトで先にビートを作るときもあれば、ピアノの弾き語りから始めたりと順序は様々ですが、制作していくなかで「ピアノのみの演奏でも成立するな」と思ったんです。ピアノバージョンは、聴く人によっては「ここはこういうイメージだったのか」と想像をふくらませるきっかけになると思いますし、ヴォーカルが入っている表題曲とはまた違った雰囲気を味わってもらえたらと思います。

――読者のティーンには、『夢うらら』をどう聴いてほしいと思いますか?

甲田 私の中では「夢うらら」だけでなく、2曲目の「ごめんなさい」も背中を押す曲になっているので、背中を押してほしいときに聞いてもらえるとうれしいです。