想像力豊かなプレゼンテーションに驚く「GEM Talks」。学生のみなさんに新たな刺激を

――国籍、性別不問で日本の高校に通うすべての“ガールズ”たちを募った、高校生のためのプレゼンテーションキャンプ「GEM Talks」を立ち上げた経緯は?

森理世(以下、森) モットーは「輝けガールズたち」で、学生達が輝く場所を作るためにイベントを立ち上げました。私が会長を務める社会貢献活動団体「5 Crowns Japan」(2022年7月1日設立)が主催しています。実行委員の皆さんからも協力なバックアップをいただき、対象となる高校生の子たちには「新しい自分に出会ってほしい」という気持ちもありましたし、自分自身を表現する場を与えて「学生のみんなに輝いてほしい!」と考えたのが、イベントを立ち上げたきっかけです。

――「学生のみんなに輝いてほしい!」という思いは、どこから湧き上がってきたのでしょう?

森 日本の若い子たちが持つ謙虚さは美徳とされていますが、海外の同世代と比べると、自己肯定感が低いのではないかという問題意識があったんです。私身、20歳の頃に「ミス・ユニバース2007世界大会」で優勝した時も、自信満々で出場していませんでした。学生時代には迷いもあったし、自己肯定感も低かった。でも、勇気を出して自分の殻を破り、外の世界へ出てみたら素晴らしい人々やチャンスに巡り会えたんです。今を生きる学生のみなさんにも同じようなチャンスをつかんでほしい、そうした思いが原点でした。

――プレゼンテーションのテーマに「リーダーシップ」を選ばれた理由を聞かせてください。

森 今、世界は激動/激変の時代を迎えています。『リーダーシップ』というテーマを通して、自己理解を深め、自分のなりたい姿を熟考することによって、変化の中でもブレることのない自分の”軸”を探してもらいたいと考えています。将来の世界をリードする“卵たち”は日本にもたくさんいると思います。ただ、コロナ禍で世界の状況が変化してからは、入国制限で自由に各国を行き来できなくなり、世界との距離が遠ざかってしまいました。私自身も先日、2年ほど滞在したアメリカから帰国した時に「世界は広い」と改めて痛感したんです。再び動きはじめた世界をまとめていくには、新たなリーダーシップが必要となるでしょうし、その思いから、高校生のみなさんに「あなたにとってのリーダーシップとは何ですか。自分でマニフェストを掲げて、プレゼンテーションしてみましょう」と問いかけました。

――2022年9月24日に国連大学 エリザベス・ローズ国際会議場で行われる「決選」に向けて、どのような応募がありましたか?

森 エントリーの段階では、高校生のみなさんから「リーダーシップとは」をテーマに、4分間のプレゼンテーション動画を募集しました。決選では、動画の分数がさらに7分へ拡大されます。条件は、視聴覚資料を使用する、英語で伝える、の2つです。主催側の想像を超える作品がたくさんあり、綿密に調べたデータをグラフ化して見せる子たち、紙芝居形式のプレゼンテーションを展開する子たち、ダンスで表現した子たちもいます。

――学校とは異なる経験は、高校生たちにとって新たな刺激になりそうです。

森 決選でファイナリストに選ばれた子達が会えば、その場で素晴らしいコミュニケーションや新たな学びが生まれると期待しています。コロナ禍では、他校の子達とふれる機会も限られていたと思うんです。私達も、感染症対策をしっかり取った上で、交流の場を提供していきたいと考えています。他の子のプレゼンテーションを聞いて「もっと頑張ろう」と思ったり、「自分のやりたい道が分かった」と発見につながったり。夢を再確認する場所にしてほしいですし、それぞれの子達にとっての夢の設定値が高まり「もっと高く目標を設定しよう」と考えてもらえるような時間になればと思っています。

――森さん自身も、高校時代はたくさんの刺激を受けていたのかなと。

森 毎日が刺激に満ちていました。高校時代はカナダに留学しバレエ学校に通っていたんです。プロのダンサーや芸術家を目指す子達が集まっている特殊な学校で、毎日が競争でしたし、仲間でありライバルのような関係でした。卒業間際には、就職先を探すためにそれぞれバレエ団のオーディションを受け始めるのですが、まわりの頑張る姿に私も感化されていました。ニューヨークのブロードウェイに、ラジオシティ・ミュージックホールが拠点のダンスカンパニー「ロケッツ」のオーディションを受けましたね。行動するかしないかで大きな差が生まれますし、「私はこのぐらい」と限界を決めることなく、殻を破るために突っ走っていました。