目指したのは「変なアイドル写真集」。メンバー・岡田奈々が撮影したこだわりカットも
――2011年12月に“AKB48劇場”でデビューしてから11年目。1stソロ写真集『村山彩希1st写真集 普通が好き』の出版のお話を聞いた時は、何を思いましたか?
村山彩希(以下、村山) “AKB48人生”の中で自分が写真集を出す未来を想像していなかったので「本当に!?」と思いました。写真集は、卒業記念に出すイメージが強くて、大きな節目であったり、何かきっかけがないと出せないと思っていたんです。予想外で「何もないこのタイミングでいいんですか?」と思いました。
――タイトルは『普通が好き』ですが、写真集内のロングインタビューでは「変なアイドル写真集」を目指していたと明かしていましたね。
村山 タイトルは(総合プロデューサーの)秋元(康)先生が考えてくださった10通りの候補の中から選びました。秋元先生も、写真集の完成版を見て『普通が好き』とタイトルを付けるあたり変な人だなって(笑)。でも、私のちょっと変わった活動の仕方を汲み取ってくれて、うれしかったです。作品を通して「変な子」と思ってもらいたかったので、アイドル写真集ならではの「白い水着に晴れた空や海」といったカットは減らして、作り込んだ世界観のカットを増やしていただきました。
――先述のロングインタビューで「カメラを向けられることがあまり得意ではなくて」と明かしていたのも、意外でした。
村山 カメラで撮られるのが好きじゃないので「大丈夫ですか?」と、不安な気持ちも強かったです。グラビア撮影は経験してきましたけど、結局、恥ずかしさが勝つんです。でも、ソロ写真集のおかげで自分を客観視できるようになりました。これまでは「自分がかわいいか。かわいくないか」で判断していましたけど、「自分をどう見せたいか」と考えながら、撮影現場で自分のカットをモニターで1枚ずつ確認できるようになりました。
――撮影に向けた体づくりなど、どのような準備をしていったのでしょうか?
村山 エステサロンに通いました。バスケ部出身でしたし、普段から歌って踊っているので体格がガッチリしているんですよ。でも、理想の女性像ではなかったので、やわらかい印象の“大人のマシュマロボディー”を目指すために、卒業生のみいちゃん(峯岸みなみ)や先輩のゆきりん(柏木由紀)さんに「体格にコンプレックスがあるんですけど、どうやってメンテナンスしてますか?」と相談して、エステサロンを紹介してもらいました。エステサロンでは、食べものやストレッチ、入浴法のアドバイスもいただきましたけど、日頃のケアは自分との戦いだったので、大変さもありました。
――努力の成果を発揮した沖縄のロケで印象的だったことは?
村山 海の撮影では、空や雲が紫がかったピンクに染まっていて、非日常な光景が素敵でした。カメラマンの桑島(智輝)さんが「撮影で沖縄へ行くことは多いけど、こんなにきれいな夕日のもとで撮ったことはない」とおっしゃっていたのが印象的で、そこで撮影したカットはどれもお気に入りです。あと、スコールで撮影が中断したあと、虹が出て水に反射する自分を写した写真も気に入っています。通常版の裏表紙に採用されていて、自然が味方してくれたようでうれしかったです。
――都内での撮影で、気に入ったカットは?
村山 公園の近くで、メンバーの岡田奈々ちゃんが撮ってくれたカット(写真集内のコーナー「Nana’s Camera」に収録)です。コーナーのカットは、奈々ちゃんに「この道がいい」「あの場所がいい」と提案してもらいながら、街中を練り歩いて撮影しました。浴衣姿も披露していますが、シチュエーションはすべて奈々ちゃんのこだわりです(笑)。
――カーテン越しで“謎のメンバー”に後ろから手をかけられているカットもありますが、この方もひょっとして…とは思いました(笑)。
村山 ファンのみなさんに「誰なんだろう…」と想像してもらえるかと思って、答えは言わずに一生におわせようと思います(笑)。
――(笑)。都内では、AKB48劇場でも撮影されましたよね。やはり、特別な思い入れが?
村山 写真集が決まってすぐに「劇場の写真は入れたい」と思いました。カメラを向けられると身構えてしまうので、公演中で知らぬ間に撮られている自分の表情が一番好きなんです。ファンのみなさんから「静止画があんまり映えない」と言われることが多く、髪の毛やスカートの躍動感がある、たまたま撮れたカットのほうが映えるみたいで。「こんな表情をしているんだ」と、発見する楽しさを味わってもらいたいです。