生涯かけて一つの仕事を作っていく生き方が主流だった昭和という時代

――主演映画『Bridal, my Song』では、ウエディングプランナーの第一人者として、革新的なアイデアで日本のブライダル業界を変革した今田秀を演じていらっしゃいます。

小出恵介(以下、小出) 男の一代記、仕事にフォーカスを置いた物語です。普段、役柄を演じる上で、人物の心情動向を意識することが多いのですが、今回は職業ものということを強く意識しました。実際に結婚式場に働いている方々を見学させていただいたり、会場や結婚式を見させていただいたりしながら、少しずつ気持ちを作るようにしていきました。

――実際に現場を見学していかがでしたか?

小出 ウエディング関係は初めてだったので、あまり想像できなかったのですが、自分の知見も含めて、実際に現場を見て「なるほどな」という感覚があったので、それをシェアできるのかなと思いました。

――演じられた今田秀はどんなキャラクターだと思いますか?

小出 今田秀のモデルで、今回の映画のエグゼクティブプロデューサーでもある今野秀尊会長は非常にユーモアがあって、エネルギッシュで、チャーミングな方です。そこは脚本にそのまま描かれていたので、自分の中の要素として入れていけたらいいなと思いました。

――昭和55年・平成5年・令和2年、と3つの時代を演じられていますが、工夫されたことはありますか?

小出 短いスパンで年代を変えていくので、混乱する部分はありましたが、今田秀の息子役を演じた共演の水沢(林太郎)くんと一緒に作っていくというか、彼を見ながら自分がこうすればいいんだな、というのもありましたし、役者陣とスタッフさん全員で作っていった感じです。

――年齢によって話し方や体の動きも変化させていく必要があります。

小出 そういう部分も探り探りでした。最初は、「ちょっとあざといかな」と思っていましたが、完成した作品を観たら違和感がなかったので、良かったのかな、と。

――監督からはどのようなリクエストがありましたか?

小出 監督は、「今野会長はこういう方でこういう感じだ」と強いイメージを持っていらっしゃいました。それをいただきつつ演じました。

――就職や進路を考えている読者が観ても考えさせられる映画だと思います。映画の見どころを教えてください。

小出 今は、価値観が変わってきていると思いますが、昭和の時代というのは、一つの仕事を生涯かけて作っていく生き方、人生設計がある種、主流であり、美徳でもあった。そういうことを感じ取ってほしいです。

――この映画を観ると、必ずしも終身雇用が悪いとは言えないのではないかと思えます。

小出 上司と部下という関係を超えて、一生続く人間関係になっているんですよね。社長が無謀な挑戦をしても、結局、老人になってもみんな一緒にいる。今は、そういうことは、なかなかないだけに、かわいらしさを感じます。今は、仕事を変えることへの抵抗感も少ないですし、時代は変わったなと思います。