順調に見えても、見えない部分で悩んでいる人はたくさんいる

――小出さんは、俳優以外のお仕事を目指そうと思ったことはありますか?

小出 ないと言ったら嘘になりますね。自分もいろいろあった時によぎったことがあります。結局元のサヤに戻りましたが、キャリアを見つめ直すという機会は、人それぞれいろいろな形で訪れるんじゃないかなと思います。その時に何を選ぶか、ですね。

――若い頃は俳優というお仕事について悩むことは少なかったのでしょうか?

小出 疑問はなかったと思います。18歳から始まって33歳までガーっと進んできたことに対する慣れもありましたね。とはいえ、やはりいろいろな仕事をしていく中でストレスや疲れ、壁は感じていました。

――傍目から見ると順調にキャリアを積んでいるように見えました。

小出 もちろんそれはうれしいんですが、一方で自分の中での波はありました。仕事に対する覚悟や集中力が欠けていた時期というのはあったと思います。

――誰かに相談されましたか?

小出 相談していた時もありました。でもクリアにならないというか、自分の中で落とし込めていない時期があったんだなって今では思います。

――2017年に活動を休止し、2018年から約2年間ニューヨークに留学します。この時期があって良かったことは何でしょうか?

小出 それまでの日々を思いっきり振り返りました。そこでまた気持ちを確かめる機会があったので、新たな気持ちで俳優という仕事に向き合うことができたように思います。

――順調に見えている俳優さんでも、同じような経験をしていると思われますか?

小出 あると思います。見えない部分で皆さんすごく悩んでいますし、うまくいっている人ほど怯えたり、心配していたりすることはありますね。それは常につきまとうことじゃないかなと思います。

――それは安定のないお仕事ならではのことでしょうか?

小出 役者の仕事に限らず皆さんそうなんだろうと思います。安住していると、どこかで甘えたり、慣れたりすることはあるはずです。

――過去のお話をお聞きします。オーディションがきっかけで役者になられましたが、オーディションを受けようと思われたのはなぜですか?

小出 大学生の頃、就職を考えた時に、同じ時間に同じ場所にいるという生活をずっと続けるのが窮屈というか合わないと感じ始めたんです。イレギュラーな活動、イレギュラーな生活、いわゆる9時5時の仕事ではないところに意識が行き始めた。それで映画の世界に目が向きました。

――もともと映画は好きだったのでしょうか?

小出 大好きでかなり観ていました。それがきっかけだったのかもしれません。

――高校生の頃は進路についてどのように考えていましたか?

小出 高校生の頃は何も考えてなかったですね。進学して、何かしら働くんだろう、みたいな感じでした。

――高校時代に打ち込んでいたことを教えてください。

小出 バスケットに打ち込んでいました。引退してからは映画を観たりするほうにシフトしていきました。

――打ち込んでいただけに部活を引退した時は、物足りなさがあったのではないでしょうか?

小出 そうですね、燃え尽き症候群というやつです。その期間を経て、何か探さなきゃと、映画に辿り着きました。そんなにきれいに辿り着いたわけでもなく、さまようというか、何もないような期間もたくさんありました。

――付属の大学に進学されましたが、専攻はどのように決められましたか?

小出 美学美術史学だったのですが、大学1年生の時から芸能活動を始めていたので、それに関連した分野ということで選びました。

――付属の高校ならではの良さというのはありましたか?

小出 ゆとり、猶予ですよね。受験勉強に時間を割く必要がなくて、自分のやりたいことができるからみんなのびのびしているんです。それも、イライラするくらい余裕があるんです(笑)。特に内部進学の子たちは色々な意味で余裕がある家の出身者が多いので、みんな雰囲気にも余裕があるんですよね。外部から来てる人たちは親の大事なお金で支援を受けて上京して、と背負っているものが違うから雰囲気が違います。

――そういった環境から出たいと思ったことはありましたか?

小出 身内ノリといいますか、あれはあれでいいなと思いましたけど、一生続かないなとは思っていました。