「異世界に行きたい」という世界観を教えてくれたシリーズ
――25年以上長く愛される「魔術士オーフェン」。TVアニメ「魔術士オーフェン」シリーズの出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか?
江口拓也(以下、江口) まさか自分がオーフェンに出られるとは思ってもいませんでした。25年前、僕はまだ10歳。「魔術士オーフェン」をいろいろな場所で目にするようになったのは中学生の頃で、その時は「将来声優になりたい」とは1ミリも考えていなかったので、こうして今再びアニメ化されて、出演出来るということが驚きですし、うれしい気持ちです。
――当時は「魔術士オーフェン」シリーズにどの様な印象をお持ちでしたか?
江口 TRPG(テーブルトークプレイングゲーム=“対話型”のロールプレイングゲーム)の世界観というか。今、“異世界転生物”がすごく流行っていますが、「現実世界から、その異世界行きたい」と思わせてくれる世界観を作った、最初の作品という印象が強いです。
――オーフェン第1期、第2期の資料や台本などをご覧になった時の感想をお聞かせください。
江口 何より「我は放つ光の白刃」(われははなつひかりのはくじん)という魔法詠唱を聞いた時はテンションが上がりました(笑)。当時は魔法詠唱と言えば「オーフェン」か「スレイヤーズ」で、「何とかドラゴンのどうのこうの」みたいな、一度聞いただけじゃわからないセリフが多いんです(笑)。その難しい言葉を一つ一つ覚えていく作業が醍醐味であり、楽しむ場所だと感じています。
――今の若い世代が「魔術士オーフェン」を観るとそういった世界観が新鮮に感じるのかもと思います。
江口 そうですね。「剣と魔法とドラゴン」の世界である所が一番魅力だと思います。「魔術士オーフェン」は魔法や生物、その世界についていちいち説明しないんですよ。今はゲームもそうですが、0から1をチュートリアルでめちゃくちゃ説明して、何の知識がなくても入れる作品が多いですが、昔は説明書を読み込んで、やっとゲームが始められるくらい気合が入っていて。ちゃんと自分で考えて、自分で興味を持たないと、進まない。そういった意味では、台本の中でも、難解な文字とやりとりと関係性を考えながら観るという楽しみがあります。「難しすぎる!」は新鮮だと思いますね。でも、そこが面白い。