自分が変わるきっかけになった「おちょやん」への出演

――キャリアについてお伺いします。俳優を目指したきっかけを教えてください。

杉咲 小さい頃から、ひとつのクールに放送されているドラマをほとんど観ていたほどドラマが大好きで、気づいたら自分も演技がしたいと思うようになっていました。中学校に入学したばかりの頃、母と話し合いをして「部活に入るか、事務所のオーディションを受けるかどっちがいい?」と聞かれて、事務所のオーディション受けることにしたんです。ずっと好きだった志田未来さんが所属されている事務所を母と調べて、オーディションを受けて入りました。

――学校を卒業するタイミングで、就職するという選択肢はあったのでしょうか?

杉咲 なかったです。少し恥ずかしいですが、なぜか小さい頃から漠然と「将来は絶対この仕事をしている」と信じていたんですよね。

――ターニングポイントになった作品はありますか?

杉咲 朝ドラの「おちょやん」(20/NHK)に携わらせていただけたことはとても大きかったです。それまでは、なんだか気負いすぎていたというか。周りの反応がとても気になって、常にアンテナを張り巡らせている感覚があったので、疲れてしまったり、必要以上に落ち込んだりすることも多かったんです。「おちょやん」が放送になった当初はまだそのような感覚から抜け出せていなかったのですが、たとえば自分が想像していたものから離れた反応を世間から感じると、現場で感じた特別な気持ちを忘れてしまって、ただただ落ち込んでいる自分がいることに気づいて。あるとき、それってめちゃくちゃもったいないなと思ったんです。それからは、過ごした時間は間違いなく自分の財産で、その時自分が感じられことをちゃんと大切にしよう、その時間だけを信じたらいいんだと思えるようになりました。「おちょやん」の現場では、それほど素晴らしい日々を過ごさせてもらいました。

――周囲の声が気にならなくなったと。

杉咲 今でも完全にシャットアウトしている訳ではありませんが、あまり気にならないようになりました。自分が思ったような結果にならず悔しい気持ちになったこともあったのですが、思い通りになっていたとしたら気付けなかったような大切なことをその日々に教えてもらった気がしています。

――役者の仕事をする中で、どのような時にやりがいを感じますか?

杉咲 撮影現場での最終日、クランクアップの日です。撮影では、初めて会う方々と、いきなり家族と過ごす以上の時間を共にして、作品を通してその人が見えてきたり、その人のことを詳しく知らないはずなのに大切な存在になっていったりして。そういう日々を少しずつ積み重ねていって最後に見える景色は、やはり特別で。みんなでこの日々を乗り越えてきたんだと思える最後の日は、とっても切ないけれど、ご褒美のような特別な時間なんです。

――最後に進路選択を控えているティーンにメッセージをお願いします

杉咲 自分のことを信じてもらいたいです。「できないかもしれないけど、一回やってみよう」と、漠然としていてもいいから自信を持ってみることが、進路を考える上で大切なことなのではないかなと私は思います。

Information

『ぼくらのよあけ』
10月22日 全国公開
キャスト:杉咲花(沢渡悠真役)、悠木碧(ナナコ役)、藤原夏海(岸真悟役)、岡本信彦(田所銀之介役)、水瀬いのり(河合花香役) 、戸松遥(岸わこ役)、朴璐美(二月の黎明号役)
原作:今井哲也 『ぼくらのよあけ』(講談社「月刊アフタヌーン」刊)
監督:黒川智之
脚本:佐藤 大
© 今井哲也・講談社/2022『ぼくらのよあけ』製作委員会

映画あらすじ:「頼みがある。私が宇宙に帰るのを手伝ってもらえないだろうか?」西暦2049 年、夏。阿佐ヶ谷団地に住んでいる小学4 年生の沢渡悠真は、間もなく地球に大接近するという“SHⅢ・アールヴィル彗星”に夢中になっていた。そんな時、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが未知の存在にハッキングされた。「二月の黎明号」と名乗る宇宙から来たその存在は、2022 年に地球に降下した際、大気圏突入時のトラブルで故障、悠真たちが住む団地の1 棟に擬態して休眠していたという。その夏、子どもたちの極秘ミッションが始まった―

公式サイト

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杉咲花

俳優

東京都出身。1997年10月2日生まれ。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)で第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・新人俳優賞、など多数受賞。第30回橋田賞 新人賞を受賞(22)。その存在感と卓越した演技力で、今、最も注目される女優の一人。主な出演作に、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』(21)、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(21)、『サイダーのように言葉が沸き上がる』(21)、ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」(21/日本テレビ系)、NHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(19/NHK)、連続テレビ小説「おちょやん」(20/NHK)など。

Editor:Keita Shibuya,Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer:Takahiro Iguchi, Stylist:Mai Ozawa, Hair&Make:Mayu Takahashi
衣装協力
ドレス ¥184,800(クリスチャン ワイナンツ)
問い合わせ先
ショールームリンクス(03-3401-0842)