声優ならではの観点でASMRの魅力を伝えることができた

――今回、役作りに関して苦労したことはありますか?

大西 ゆりちゃんのようなキャラクターはそれほどお話をいただく機会が多くないので、「よし、かわいい女子高生を演じるぞ!」とスイッチを入れました。今回、改めて大変だなと思ったのは、ゆりちゃんのベースで作った声をウィスパーにしていくことです。視聴者さんの顔周りの近くで出す音が多いASMRは、ささやきに近い癒しボイスのような感じで話さなければいけないんですが、普通に喋っている声だと息をいっぱい出せて、音がちゃんと出せても、小声になった途端にゆりちゃんの声ではなくなるというか「あれ?キャラ変わっちゃった?」ということもありました。演技にASMRがプラスされたことが大変でしたね。

――ゆりを演じる上で大切にしていること、心掛けたことを教えてください。

大西 かわいさでしょうか(笑)。寝息をASMRで録るシーンがありましたが、普通に寝ている分にはそれほど音は出ませんよね。でも、皆さんに寝息を楽しんでいただきたいから、リアルよりも少しオーバーめなかわいい寝息で、音がちゃんとマイクに乗るようにしました。ある程度割り切ってやらないと無音になってしまうので、そういったところは注意しましたね。「普通だったらこんなのないな」と感じることでも、ASMRで楽しんでいただけるのが、この作品のいいところだと思います。

――かなり変わったキャラばかりが登場しますが、ゆり以外で気になるキャラクターはいますか?

大西 全員気になりますが、蔵前ぱんだちゃん(cv.鬼頭明里)かな。クールでおとなしいキャラなのかなと思ったら、意外と言っていることがキツかったり、なじったり、罵倒したりするシーンもありました。いまだにちょっと未知数ですね。妹(浅草とと cv.久保田未夢)が一番まともに見える(笑)。唯一手放しで見ていられるキャラクターですね。ゆりちゃんは受け身と言うより、わりと「私はこういうことをやりたいんです!」と自分から仕掛けていくキャラクターだったので、一人で収録していても「みんな受け取って」という気持ちで投げることができたのはちょっと不幸中の幸いでした。誰かの影響を強く受けるキャラクターだと、その相手の声が入ってない状態では難しかったと思うので。……「受け」のキャラって誰なんでしょう? みんなハチャメチャです(笑)。

――今回の作品でお気に入りのシーンはありますか?

大西 委員長の鐘ヶ淵つるぎと絡むシーンですかね。演じているLynnさんともきちんと絡めて楽しかったです。ぱんだちゃんも他の子も、たまにはたしなめてくれますが、ゆりちゃんは基本野放しなんです。そんななかでつるぎだけはちゃんと「ダメですよ」と厳しい対応をしてくれる、珍しいキャラクターだと思います。

――ASMRがテーマという個性的な作品ですが、収録を終えての感想を伺えますか。

大西 声優ならではの観点で、ASMRの魅力を伝えることができたかなと思います。楽しくて素敵なASMR作品を提供してくださる方とは違うステージ、前例を作れていたらうれしいですね。ASMRの醍醐味はイヤホンとかヘッドホンをすることで、より距離感や臨場感を楽しめるというところなので、テレビでそれを放送するというのはすごいなと私は思っているのですが(笑)。ASMR初心者の方は是非、LRで分かれているイヤホン、ヘッドホンを通してこのアニメを観てほしいなと思います。