ビジュアルのインパクトを超えたシリアスなメッセージ

――『カメの甲羅はあばら骨』は清水さんにとって2度目の声優挑戦になりますが、以前から声優に興味はあったんですか?

清水尋也(以下、清水) もともとアニメが好きで声優をやりたいと思っていたので、オーディションも受けていたんですが、なかなか機会に恵まれなかったんです。ありがたいことに昨年公開の『映画大好きポンポさん』(以下、『ポンポさん』)の時にオーディションで選んでいただいて。声優としての技術や経験がなく初めてのことなので、勉強させていただこうという思いで日々奮闘していました。大変だったんですけど、それも全部楽しさにつながり、充実したお仕事でした。

――『カメの甲羅はあばら骨』のオファーを受けた時はどんなお気持ちでしたか?

清水 原作の動物図鑑も読ませていただいて、「何だこれ?(笑)」と戸惑いつつも、とても面白かったんです。脚本もキャラクターごとに、ちゃんと色づけがあって、しっかりとメッセージも伝わってくるので、「ぜひやらせてください!」と。

――『カメの甲羅はあばら骨』は、動物たちの体のしくみを、人間の体を変形させることで解説するという内容ですが、原作をどう映像化するのか全く想像もつかなかったのではないでしょうか?

清水 そうですね。「この動物図鑑がどう動くのか。このビジュアルのキャラクターが動き回ったらどうなるんだろう」と楽しみでしたね。決まった時からワクワクしてました(笑)。

――設定もビジュアルもユニークですが、高校を舞台に人間模様も描かれていて、共感できる作品ですよね。

清水 初めはビジュアルのインパクトがすごいですけど、観ているうちに物語がすっと入ってくるんですよね。くだらない瞬間はたくさんあるんですけど、シリアスなトーンもしっかり描かれていて。

――監督からはどんな指示がありましたか?

清水 アニメだからといって、あんまりアニメっぽくし過ぎたくないと。3DのCGなので、普通のアニメよりもリアルだし、シュールなところも欲しい。なのでトーンとしてはフラットに、ナチュラルなテンションでやってほしいという指示をいただきました。それに基づいて、シーンによっては「ここの前に、この一言を新しく足してみましょうか」という即興の指示もあり、いろいろ試させていただきました。

――3DのCGだと、アフレコも普通のアニメとは感覚が違いそうですね。

清水 違いました。映画でも、撮影中に車や飛行機の音が入って、セリフがきれいに録れていない時は、後から声を足すんです。そういう時は、自分の演じている映像を見ながら、自分の口に合わせてアフレコするんですけど、その感覚に近かったかもしれないです。

――2回目の声優挑戦で慣れた部分はありましたか?

清水 わりと気持ちの部分は楽にできたんですが、技術面は変わらず難しかったですね。前回の『ポンポさん』とは色も全然違うし、作品の雰囲気にあった声の温度感も探り探りだったし、主人公をやらせてもらうプレッシャーもあります。それに『ポンポさん』は共演した小原好美さんがプロの声優さんなので、いろいろ教えてもらうこともできたのですが、今回はずっと出ずっぱりというのもあって、前回とは違ったプレッシャーもありました。その分、いい緊張感で臨めました。

――ティーンに向けて、本作の見どころを教えてください。

清水 学校という環境は、ある程度の枠が定められた中で、大勢の人たちと青春時代を共にしますが、多感な時期だし、自分が今どういう状況か客観的に見るのは難しいと思うんです。このアニメではスクールカーストや、いろんなタイプの高校生が描かれていますが、思春期の真っ只中の時に観ると、共感できる部分もあるだろうし、自分の日常にも思い当たる節があるかもしれません。本作を観て、少しでも気づきがあるとうれしいですね。