高校2年生の時に学校と仕事の二者択一を迫られた

――お仕事をしながら、高校生活も楽しむことはできましたか?

清水 親とマネージャーさんの意向で、学生のうちは学業を優先していました。長い撮影は基本的に夏休みや春休みに入れてもらうようにしていたので、学校生活もしっかり楽しみましたね。僕が芸能の仕事をしているからといって特別扱いされることもなく。中高一貫の6年制で、ずっと同じクラスというのもありましたし、気を遣わずに接してくれていたので、変にキャラを作ることもなくバカをしていました。先生にもたくさん怒られましたけどね(笑)。僕は高校2年生の時に仕事の関係で通信制の高校に転校したんですけど、当時の友達とは今も仲良しです。

――高校時代に印象的な学校行事はありましたか?

清水 文化祭です。うちの学校は1年に一回だけ、文化祭が終わった後に学校の屋上が開放されるんです。その日は花火師の方が来て、日が暮れると校庭から本格的な花火を打ち上げてくれて、それを屋上から見るんです。プロの打ち上げる花火なので、学校の近隣に住む人もベランダから見ていて。彼氏・彼女がいる人はカップルで花火を見るし、その日を狙って好きな人に告白するためにソワソワしている人もいる(笑)。花火の後、後夜祭があるんですけど、それも楽しかったですね。

――転校した時は、高校卒業後も俳優としてやっていこうと決めていたんですか?

清水 まさに、そのタイミングが最終的な決断でしたね。ある映画のオーディションに受かったんですけど、その撮影に参加すると、出席日数が足りなくなる。映画に出演するか、そのまま高校に通うかの二択で、その時にしっかり母親と話し合いました。母親としては、せっかく頑張っていい高校に入ったんだから、卒業してほしい気持ちもあるけど、「あなたは良くも悪くも人の言うことを聞かないから、あなたのしたいようにしなさい。ただ、どっちを選んでもいいけど、絶対に後悔だけはしないようにしなさい」と言われたんです。

――それで迷わず映画を選んだんですか?

清水 それが、なかなか自分では決断できずに、途中で投げやりになって、「その仕事を受けない」と言ったんですけど、そうしたら母親に「それはずるい」と。「私は親として高校を卒業してほしいと言ってるけど、それで高校を選んだら、後で何かあった時に絶対に私のせいにする。だから、それはやめなさい。結局、決めるのは、あなたなんだから」と言われて。うちは片親だったので金銭的にそこまで余裕はなかったんですけど、最終的に土下座をして「映画を選ぶので、通信制の高校に行かせてください」と。ちょうど、その時の映画のギャラで通信制の学費を払って、転校する選択をしました。そのタイミングで今の事務所に移籍したんですけど、通信制は登校日も少ないので、お芝居に専念できる時間も増えました。

――お母さんの言葉は胸に響きますね。

清水 母親には本当に助けられました。子どもの意思を尊重してくれたので、感謝しています。

――5年間過ごしたクラスメイトと離れるのは、相当辛かったでしょうね。

清水 そうですね。だからこそ絶対に後悔しないようにと、いろんなオーディションを受けて、たくさんの作品に出ることで、会えなくなった学校のみんなに「あれ見たよ!」と連絡してもらえるように仕事を頑張りました。

――高校を卒業して、お仕事一本に絞ったことで、意識の変化はありましたか?

清水 全然違いますね。当たり前ですけど、学校を卒業したことで、この仕事で食べさせてもらっているという意識も強くなったし、それには自分の力だけじゃなくて、いろんな人たちの力やつながり、作品との出会いがあって、ありがたいことに仕事を継続させていただけています。

――最後に進路選択を控えているティーンにメッセージをお願いします。

清水 僕は小さい頃から、わがままを許してもらえた環境にいたんです。ただ、好き勝手にしていいけど、何かあったら自分で責任を取りなさいと。後悔しないように、自分で意思決定するというのは心がけています。先ほどもお話しした転校するタイミングも大きかったですし、3年前に初めて親元を離れて、4ヶ月間ロサンゼルスに留学をしたんです。その期間も振り返ってみると全部良かったなと思えるんです。

――仕事が順調な中、長期で海外に行くのは度胸もいりますよね。

清水 結局、自分次第じゃないですか。自分の意見や意志を貫いたとしても、その後の行動でみんなが幸せになるように努力すればいいと思うんです。人に流されるのは、人のせいにしちゃうから良くない。失敗するにしても、自分の選択で失敗したほうが、絶対に自分のためになるし、他人じゃなく自分を恨めばいいだけ。学歴が大事、経験が大事と、いろいろな考えがありますけど、どんな選択をしても自分が幸せになり、周りを幸せにできれば、それでいいと思います。

Information

『カメの甲羅はあばら骨』
2022年10月28日(金)全国ロードショー

清水尋也 磯村勇斗
江口拓也 上國料萌衣(アンジュルム)
野津山幸宏 栗田航兵(OCTPATH) 四谷真佑(OCTPATH) 森本晋太郎(トンツカタン) 坂本慶介 でんでん

原作:川崎悟司「カメの甲羅はあばら骨」(SBクリエイティブ刊)
監督:モリ・マサ 脚本:田中眞一/モリ・マサ
アニメーション制作:タイプゼロ
企画:Studio Outrigger 製作:カメの甲羅はあばら骨製作委員会 配給:イオンエンターテイメント/アスミック・エース
©2022カメの甲羅はあばら骨製作委員会

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清水尋也

俳優

1999年6月9日生まれ。東京都出身。主な出演作に、映画『渇き。』(14)、『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』(15)、『ちはやふる 上の句・下の句/–結び–』(16/18)、『ホットギミック ガールミーツボーイ』(19)、『甘いお酒でうがい』(20)、『東京リベンジャーズ』(21)、『スパゲティコード・ラブ』(21)、『さがす』(22)、ドラマ「インベスターZ」(18/TX)、「サギデカ」(19/NHK)、「アノニマス 〜警視庁〝指殺人〟対策室〜」(21/TX)、連続テレビ小説「おかえりモネ」(21)、「となりのチカラ」(22/EX系列)など多数の話題作に出演。劇場アニメ『映画大好きポンポさん』(21)で声優初挑戦にして主演を務める。2019年、第11回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞。

Editor:Keita Shibuya,Photographer:Takuro Miyazato,Interviewer:Takahiro Iguchi