観客にエゴをぶつけてはいけない

――学生時代に熱中していたことはありますか?

浅沼 僕は美大で映像コースを専攻していたので、ずっと映画を作っていました。他に「四畳半」にリンクしているところで言えば、アルバイトでキャラクターショーのスーツアクターをやっていました。

――浅沼さんも、映画サークルやヒーローショー同好会に入っていた「私」そのままの学生時代を送られていたんですね。

浅沼 もちろんそのままではないですけど(笑)。だから学生時代は映画を作っているか、ヒーローになって悪と戦っているか、悪になってヒーローと戦っているか、という記憶しかないです(笑)。

――ご自身のキャリアのなかで、ターニングポイントになった作品や出来事があれば教えてください。

浅沼 ターニングポイントになったのは、やはり「四畳半神話大系」だと思っています。最も現場で苦労したというか、これ以上は何も出せない、搾りかすも出ないくらいに全力を尽くした経験は「四畳半」が最初でしたから。今振り返ると「もう少しこうしておけば……」と悔いる部分ももちろんあるのですが、あのころの自分としては出せるものはすべて出しきった作品ですし、普段アニメを観ない方たちに観ていただけたことも、自分のなかで大きな糧になっています。

――演じるお仕事を続けるうえで大事にされていることは?

浅沼 自分がこう演じたいという願望は二の次にする、というのは演者としていちばん大事にしているかもしれません。もちろん演出家の意図に沿うという意味もありますが、観ている側がどう感じるか、どう受け取ってもらえるかを想像して、そちらを最優先するように心がけています。「自分のやりたい芝居」って、ともすれば自分のエゴを一方的にぶつけてしまうことになるので、そこは客観視して考えます。当たり前のことかもしれませんが。