新曲のMVの動きは志村けんさんのコントにインスパイアされた

――10月5日にリリースされた新曲「一心同体」はどんな曲ですか?

きゃりーぱみゅぱみゅ(以下、きゃりー) 「コロナ禍でいろんなことがあるけど、みんなで『一心同体』になって、時代を築き上げていこう!」という想いを込めました。どこか懐かしさもありながら、サビの部分はキャッチーで耳に残る中毒性の高いポップな楽曲に仕上がっています。

――デモを聴いた時は、どんな印象を持たれましたか?

きゃりー みんなで輪になって踊りたい! マイムマイムみたいなイメージが浮かびました。

――一人で聴くのもいいけれど、パーティーにも合いそうですね。

きゃりー ヨーロッパのダンスミュージックっぽいかも。「原宿いやほい」もそうですが、涼しげな感じもありながら、伝統音楽のような雰囲気もあります。

――「一心同体」は、TVアニメ「ニンジャラ」の「メイビーベイビー」に続くオープニングテーマ曲です。

きゃりー 「メイビーベイビー」は「ニンジャラ」を観ている子どもたちから「曲、聴いてるよー」と言われました。「ニンジャラ」は、世界中で配信されているゲームでもあるので、自分の楽曲が出るのはすごくうれしいですね。

――レコーディングにあたって、工夫された事はありますか?

きゃりー 最近、中田ヤスタカさんに「昔より高い音域が出るようになったね」って言われたことがあって、そのせいなのか「メイビーベイビー」あたりから音域が高くなっています。今回の「一心同体」も最後の「We are all one」はキーがかなり高くて、息継ぎするのが大変でした。年齢とともに、声がどんどん低くなるというのは聞いたことありますが、私は逆なのかもしれないです。性格が丸くなったからかな(笑)。

――中田さんは、きゃりーさんの表現力の幅が広がったと評価されているのですね。

きゃりー そうだとうれしいですね。

――ミュージックビデオでは、おじさんダンサーとハンガーに吊るされながら踊っているカットもありました。

きゃりー 「『一心同体』って何だろう?」と考えた時に、ミラーダンスが浮かんだんです。ミラー越しに顔や身体が反転する動きは、志村けんさんの合わせ鏡のコントにインスパイアされたもので、おじさんとハンガーに釣られて踊っているのはハンガーダンスです。女性ダンサーとシンクロしたスピードスケートのように動いたり「一心同体」をテーマにすると何でもできるので、新しい表現に挑戦できました。実は、夏に左脚を海で負傷して、10針ぐらい縫ったんです。最初は「治るのにすごい時間かかるし、一生残るかもしれない」と落ち込みましたが、「この傷は自分の体の一部だからポジティブに捉えたい」と思って、このミュージックビデオにはそんなメッセージも込められています。左脚の傷が「ランラララララン♪」って、歌い出すところからスタートするんですよ。そういう部分も含めて訳がわからないカオスなミュージックビデオになっています(笑)。