学校で養われるバランス感覚は社会に出ても絶対に必要

──「好きなことで生きていく」というのが時代のキーワードになっている部分はありますよね。

まちゃあき たしかにね。でも「好きなことを仕事に結びつけよう」とか考えている時点で、もう雑念が入っているんです。若いうちは、もっとピュアな衝動を大事にしてもいいと思うな。何かに本気で夢中になるというのは、もう一種の才能ですから。周りが何を言おうとも「俺はこれがやりたいんだから」って耳を傾けない情熱。僕は単なる目立ちたがり屋で、ダンスが好きで、音楽が好きで、それがたまたま仕事になっただけ。「これで食っていくぞ」なんて考えていなかったですし。

おばら 好きなことを仕事にするとなると、当然やりたくないこともやる必要が出てくる。「仕事になったら見るのも嫌になった。趣味で好きなままのほうが幸せだったな」みたいなこともあるでしょうし。でも、そこで「あ~あ、仕事にするんじゃなかったな」と後悔してほしくないんですよ。「嫌い」と言い切るんじゃなくて、「今はちょっと触りたくない時期なんだ」と一呼吸置いてみる。自分の好きなことを仕事にするのを怖がらないでほしいとは思いますね。

まちゃあき 仕事だから楽しいだけじゃないっていうのは本当にその通り。でも、どうせなら自分が好きなことをやったほうが気は楽ですけどね。

おばら 見てくれる方に失礼だから、これは俺たちもあまり言わないようにしてますが、20年もやっていたら「クソ嫌い。ダンスなんてもうやりたくない」って思う日だってありますよ(笑)。

まちゃあき ぶっちゃけるな~(笑)。でも、どんな仕事だってそれはあるよ。

おばら かと思えば、ダンスに救われる日もあるしね。なんだか不思議なんですよ。めちゃくちゃ落ち込むようなことがあった日も、ダンスすることで「あれ? 俺、機嫌がよくなっているぞ」って気づくようなことがあって。ダンスだけは自分を裏切らない。自分でも気づかないようなことをダンスが教えてくれる。長年連れ添った老夫婦みたいなもので、お互いにちょっと会話が少なくなるような時期があるかもだけど、こっちが沈んでいる時には優しく背中をさすってくれたりしますからね。

まちゃあき たとえば今はYouTuberが人気の職業として挙がる時代じゃないですか。だけど高校生くらいになったら、いくら自分がYouTube観るのが好きでも、「これを職業にしたら嫌いになっちゃうんだろうな」って想像がつくと思うんです。「毎日、編集作業に追われるんだろうな」とか(笑)。でも、そこで怖がらないでほしいんです。一歩を踏み出してほしい。

──先ほどお二人は「できるなら大学は行ったほうがいい」「勉強はするに越したことない」とおっしゃっていました。エンタメ系の仕事でも必要性は感じますか?

まちゃあき 勉強しないで成功した人もいっぱいいるわけだから、「絶対しなくちゃいけない」という話ではないんです。でも勉強することによっていい大学に入り、いい会社入るというのは全国民に与えられた唯一の均等のチャンスですから。夢がないんだったら勉強しろといいます、僕は。野垂れ死にでもいいという話なら、勝手にしろとしか言いようがないですけど。

──それこそおばらさんは、今頃、教員として児童に教えていた可能性もありましたよね。

おばら 「因数分解なんて社会に出て何の役に立つんだよ」みたいによく言われるじゃないですか。確かに因数分解を使うことはないかもしれない。でも一般的な感覚を身につけるという意味でも、勉強ってすごく意味があることだと思います。普通って実はすごく難しいことだから。普通の中学生として、普通の高校生として、普通に勉強して、テストでもある程度いい点を取って、親からも先生からも怒られないバランス感覚を身につける。これはものすごく大事だし、難易度も高いんですよ。でも社会に出たら、すごく求められることですから。

まちゃあき それは大人になると痛感するよな。

おばら 与えられた条件の中で、ちゃんと自分に求められることをやっていく。これはどの職種でも同じこと。結局、こういうことを我慢強く頑張れる人が社会でも花開いていくんですよ。集団性とか社会性は絶対に求められ続けられますから。