感情を人にぶつけることができずに自分の中に留めておくところがある

――映画『月下香』のオファーを聞いた時は、どんなお気持ちでしたか?

清瀬汐希(以下、清瀬) 映像のお芝居するのは中学生の時からの憧れだったので、いろいろ寄り道をしていたけど、ようやく夢が実現できたのでうれしかったです。

――脚本を読んだ印象をお聞かせください。

清瀬 禁断の愛を描いた物語はドロドロした、複雑な内容のものが多いと思うのですが、『月下香』は旦那さんも誠実で優しい人だし、すごくいい家庭なのに、他の男性に恋心を抱いてしまう珍しいストーリーだなと思いました。

――清瀬さんは主人公の田中亜美を演じていますが、自分に通じるものがあるなと感じる部分はありましたか?

清瀬 脚本を読んだ時は分からなかったですが、実際に演じてから、自分に似ているところがあると感じるようになりました。私ももともとは引っ込み思案で、思っていることや感情を人にぶつけることができずに自分の中に留めておくところがあるんです。今は、結構、言うようになりましたけど(笑)。

――役作りで特に意識したところはありますか?

清瀬 撮影をしたのがアイドル活動をしている時期だったので、自分の中からアイドル要素を取り除くようにしました。亜美ちゃんは絵や音楽など文化的なものが好きだけど、私はよく分からないので調べたりして亜美ちゃんの心情を探るようにしました。

――淵澤由樹監督から演技について、指示はありましたか?

清瀬 亜美ちゃんの心情を考えるシーンでは監督と話し合ったことはありました。もともと監督から「亜美ちゃんと、きよちゃんは似ている部分がある」と言われていたので、意図的に役に寄せることはしなかったです。

――共演した松井健太さんは、W主演として、年下の若き画家・柏木潤を演じていらっしゃいます。印象はいかがでしたか?

清瀬 松井さんとは、撮影が始まるまで一度しかお会いしていなかったので、最初の撮影で「あ、久しぶりです」みたいな、少しよそよそしさがありましたが、ちょうど3年後のシーンの撮影だったので、久しぶりに会った感覚は表現しやすかったです。松井さんはとても気さくな方で、人見知りの私にとってはとてもありがたい存在でした。

――撮影はいきなり3年後のシーンから始まったのですね。

清瀬 そうなんですよ。撮影の順序はかなりバラバラでした。

――そこから過去に戻るシーンを撮影された?

清瀬 3月と4月の2か月間で撮影して、4月に最初のシーンを撮影したんです。そこは難しかったですね。

――撮影で一番印象に残っているシーンを教えてください。

清瀬 最後の決断をするシーンです。言葉を発せず、後ろ姿や横顔をとらえたシーンだったので「どういう気持ちで立っているんだろう」、「この後、どこへ行くんだろう」と、亜美ちゃんの気持ちをよく考えて心情を表現しようと努めました。

――監督の演出はいかがでしたか?

清瀬 女性の監督さんだからこそ、女性目線なシーンを大切にしていました。旦那さんに接する時と不倫相手に接する時の表情や動きの違い、ところどころに出てくる女性がキュンとするシーンなど、魅せたい部分というものがはっきりしていたので、亜美ちゃんの気持ちも分かりやすく捉えることができました。

――念願の主演作品を撮り終えてどんなお気持ちですか?

清瀬 「またやりたい」って思いました。今後どんなプレッシャーを感じることがあっても、お芝居の仕事は続けていきたいです。

――ティーンに映画の見どころをアピールしてください。

清瀬 不倫というテーマの映画ではあるけれど、描かれているのは純粋なラブストーリーです。亜美ちゃんの心の揺れ動く様子や、それを取り巻く周りの人たちの一人ひとりの気持ちがきちんと描かれている作品なので、その辺りを感じてほしいと思っています。