稲垣吾郎さんは柔らかい空気感を持っている方

――『窓辺にて』で初めて今泉力哉監督の作品に出演しましたが、以前から今泉監督とは面識があったそうですね。

玉城ティナ(以下、玉城) 今泉監督は、高校時代に私が受けたオーディションの審査員をされていたので、面識自体はありました。初期の作品から観させていただいているのですが、会話がすごく多い印象で、実際に今回の『窓辺にて』もそうでした。今泉監督の過去作に出演している俳優さんも出演していらっしゃったので、「その中に入れるのかな?」という不安がありました。

――今回の作品は今泉監督によるオリジナル脚本です。今泉監督はオフィシャルインタビューで、玉城さんが今回演じた(久保)留亜と、玉城さんには、「どこか重なる部分があるようにも思えた」と仰っていましたが、ご自身はどう感じていましたか?

玉城 どういう部分が重なるのか、今泉監督から明言はなかったんですが、なんとなく「こういう感じのことを言ってるのかな」「こういう意図があった上でのセリフなのかな」というのは感じましたし、演じる上でもイメージしやすいキャラクターでした。留亜は高校生作家と私の実年齢よりも若いキャラクターでしたけど、そこまで理解できないという部分はなかったです。

――留亜は大人っぽさもありつつ、無邪気な面もあるキャラクターです。演じる上で意識していたことはありますか?

玉城 幼くしよう、無邪気にしようというのは意外と難しくて、いかにも「やってるぞ!」という感じだと浮いちゃいますし、作家の留亜がそれをすると計算高い子にも見えてしまいます。そういう風には見せたくないなと思って、単純に純粋さ、素直さ、年齢による幼さを表現できたらいいなと思っていました。最初の登場シーンは、わりと生意気で世の中を斜めに見ているキャラクターに見えるんですけど、フリーライターの市川(茂巳)と交流が深まることによって、次第に可愛らしさが見えてくるので、最初はちょっと強めなキャラクターに見えるように心がけていました。

――最初の登場シーンは文学賞の記者会見で、的を射ない質問をする記者たちに対して、毅然とした態度で対応する姿が印象的でした。

玉城 私がクランクインした時の、トップシーンが記者会見でした。そこで、留亜の軸となる作家という職業が伝わりますし、会見には学校の制服を着て臨んでいるので、大人っぽさと女子高生のバランスも取りやすかったです。幼い部分は、市川と公園に行ったり、パフェを食べたりするシチュエーションに助けられたところもあります。できるだけ市川の前ではスンとしないようにしつつ、「この子は人を見透かしているのか、見透かしていないのか、よく分からない」みたいな曖昧さも発信できるように演じました。

――市川を演じた稲垣吾郎さんの印象はいかがでしたか?

玉城 お会いする前は、ピシッとされていて、言葉数もそんなに多くない方というイメージを抱いていました。もちろん撮影現場なので、ある程度がお互いにピシッとしていたんですけど、実際にお会いしたら、すごく柔らかい空気感を持たれていました。天然……とまでは行かないんですけど、ちょっとクスッとするような感じのやりとりも現場であったりして。共演するシーンも多いので、一緒に作り上げていこうねという気持ちみたいなものを、私は感じ取りました。そのために深いお話をするとか、お互いの演技プランを伝えるということはなかったのですが、すごく信頼関係はあったと思います。市川と留亜も、ちょっとずつ繋がっていくみたいな関係だったので、その距離感が演技にも上手く反映されたのかなと感じました。