プレッシャーを軽減するには自分のための準備が大切

――『窓辺にて』に「期待とか理解というのは、時には残酷だ」という意味合いのセリフがありましたが、中村さんは周囲からの期待とどう向き合っていますか?

中村 年齢を重ねて、自分の経験値が上がるほどプレッシャーを感じるようになりますけど、それはもう仕方のないことですし、大人になって仕事の重みをより感じているということだと思うんです。「これでいいや」じゃなくて、「ここまでは絶対に持っていかなきゃ」という気持ちが自分のなかでは必ずあります。そういうプレッシャーは回避できないけど、それを軽減できるのは準備だと思うんです。怠けたいし、面倒くさいけど、とにかく自分のために準備する。プレッシャーから救ってくれるものは、それしかないんです。だから、セリフもよどみなく出てくるまでしっかり頭に入れるとか、そういう準備は若い頃よりもするようになりました。それプラス自分のご褒美を必ず作るように意識しています。

――ご褒美というと?

中村 「これを頑張ったから、あれがある」とか、自分の気持ちいいこと、楽しいことを定期的に作って、仕事から完璧に離れて、ただただ楽しい時間を作るというメリハリを自分に持たせてあげることで、より仕事も「じゃあ頑張ろう」という気持ちになれます。厳しくするところと、激甘にするところを、自分でちゃんと考える。それは人がやってくれることじゃないんですよね。

――紗衣が浮気している小説家は自分の評価を気にしますが、俳優業は評価が分かりやすいお仕事だと思います。中村さんは評価を気にされますか?

中村 この仕事を始めて長いですが、だいたい自分が想像した通りのことは起きないんです。「こんなことで褒められるんだ」とか「すごく頑張ったんだけど、これくらいの評価か」と、自分の予想とは違う結果になることが多い。もちろん、どんな仕事も一生懸命するけど、過度に期待しないようにしています。なるようにしかならないし、1個の評価が何かをものすごく変えるとも思ってないので、一つひとつ一生懸命やって、たまに褒められたらラッキー!ぐらいに受け止めています。

――どんな時に仕事のやりがいを感じますか?

中村 みんなで一生懸命作ったものですから、一人でも多くの方に観ていただけることが一番です。でも好き嫌いってあるので、その作品を好きであろう人が観てくださって、救われたとか、元気をもらったとか、そんなことをたまに言ってもらえたら、おまけのご褒美みたいな感じです。

――『窓辺にて』をご覧になる方にメッセージをお願いします。

中村 本当に何気ない話の積み重ねで、ありふれている話の中でも、その人にしか分からない感情とか、スパイスのある映画です。一方で今泉さんの作品には、人それぞれに寄り添ってくれるような優しさもあるんです。どんな方にも染みるエピソードが必ずあると思うので、そういうところを観ていただきたいですし、いろんな世代のお話があるので、若い方にも楽しんでもらえると思います。