バンド結成後、それぞれのターニングポイントとは
――バンド結成から今日までを振り返って、ターニングポイントのようなものはありましたか?
KENNY 大変だったのは、やっぱり結成して1~2年の頃です。人間なんで、4人いたら4パターンの方向性がある。Aというゴールを決めていても、そこに行くまでの過程はみんな全然違うし、僕はバンドが初めてだったので、どういう感じで進めていけばいいかも分からなかった。そもそも正解もないから、人間関係を作りながら、でも結果は出していかなきゃいけないという大変さがありました。音楽を作ること以外の部分に、注力を置いていたのが大変でしたね。だから正直、最初の頃楽しさはなかった気がするな。でもミュージシャンになりたいという圧倒的な夢だけはあったんで、そんな時期もあるだろうと乗り越えてきたって感じです。
――どのくらいから楽しさを感じ始めましたか?
KENNY アルバイトを辞めた時に、ようやくふっと楽しさというか気が楽になったかなって感じですね。安心したわけではないんですけど、アルバイトを辞めることができて、「ミュージシャンをしている」と胸を張って周りに言えるようになった時に、自分の中で人間としての自信も出てきました。
――AKUNさんはいいかがですか?
AKUN 運転が大変でしたね。最初のツアーが一番キツかった。今はほぼマネージャーが運転しているんですけど、休まないといけないから福岡とか行く時は運転を変わったりしています。ライブ前に仮眠をしに車に行ったら、本当にライブが始まる5分前ぐらいまで寝てて、KENNYがコンコンと窓を叩いて「始まるよ」って。寝起きではみんなの前に立てないからスイッチを切り替えなくちゃいけない。それが大変でしたね。今はスタッフさんの協力があってライブだけに集中できる。当時は、物販のお金も計算しなきゃいけないし、高速代がこれくらいかかるとか、時間がどれくらいかかるとか、考えながらツアーを回っていたけど、今はお客さんを楽しませるために「いいライブをする」という事だけ考えられるから幸せです。
PETE 今思い出したのは、1週間ツアー中ずっと車で寝泊まりしながら、ライブハウスでお米を炊いて食べていたツアーがあったなって。結成して1年経ってない頃ですね。ライブハウスのキッチンにお米を詰まらせてしまって(笑)。僕が一生懸命掻き出して。
AKUN KAZUMAの実家が山梨で、次のライブハウスに向かう時、本来は山梨を通らないんですけど、KAZUMAの実家にわざわざ寄ってご飯食べさせてもらったり。次は横浜はルートじゃないのに僕の実家泊まって。ご家族の愛情をもらって、ツアーに励むという。
KAZUMA その時は「米炊いて食べるツアー」って言ってましたね。お客さんからの差し入れで、おかずもらったりして。本当にコテコテの昔ながらのバンドマンみたいな生活をしておりましたね。
KENNY 漫画に出てくるようなバンドマン像。今っぽい、SNSでバズらせて簡単にヒットさせる方法も、もちろん1つの手としていいと思うんですが、無駄なことをした結果、出せる音も絶対あると思うから。『BECK』とかバンドマンの漫画を読んでそういうのに憧れているんだったら、徹底的にやったほうがいいかも。一回やってみたら、無駄なことも面白いと思うかもしれない。
AKUN 逆にさ、今だったら「米炊いて食べるツアー」ってバズるんじゃない? 当時はSNSも流行ってないし、YouTubeとかなかったから。
――KAZUMAさんはどうですか?
KAZUMA 2019年にツアーが初めて全ソールドアウトした時はすごいうれしかったというか、ワクワクしていました。翌年のツアーが出来なかったのは残念でしたが、有観客では出来なかったライブハウスで無観客ライブ配信をしたんです。コロナ禍でかなり早いうちに動き出せたので、達成感がありました。当時は配信ライブとかもなかったし、今後どうなっていくんだろう?という不安の中ですごくいいものができて、うれしかったし、楽しかったですね。
Information
『SEASONS』
好評発売中!
収録曲:
M1.Treasure (AL リード楽曲)
M2.Skyscraper (10/7 先行配信)
M3.Playback (4/29 Released)
M4.LOUDER (6/8 Released)
M5.CHASE (7/1 Released)
M6.Natural (8/19 Released コスメブランド「ALBION」新シリーズ「FLARUNÉ ( フラルネ)」タイアップソング)
M7.Lens (ニコンクリエイツ・ショーリール・ソング)
M8.Bell (4/6 Released ドラマ・映画「ねこ物件」主題歌)
M9.Holy Night
M10.Far Away (2/16 Released)
<ライブ>
SPiCYSOL Tour 2022 “SEASONS”
11/12(土) 福岡スカラエスパシオ
17:00 / 18:00
11/22(火) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
18:00 / 19:00
12/09(金) 大阪バナナホール
18:00 / 19:00
12/17(土) 北海道 札幌ペニーレーン24
17:00 / 18:00
12/25(日) 神奈川 KT Zepp Yokohama
17:00 / 18:00

SPiCYSOL
アーティスト
KENNY(Vo, Gt)、AKUN(Gt)、KAZUMA(Dr)、PETE(Key,Trumpet,Cho)による4人組バンド。2021年10月にリリースしたメジャー1stアルバム『From the C』はiTunes R&Bチャート1位を獲得。Spotify&Apple Musicでの人気プレイリストにも数多くの楽曲が選曲され、これまでのストリーミング総数は1億再生を超える。ソウル・ファンク等のブラックミュージックを昇華させた彼らの楽曲は、ボーカルKENNYのメローな歌声により、唯一無二のコントラストを生みだしている。
Editor:Keita Shibuya,Photographer:Yasukazu Nishimura,Interviewer:Kozue Nakamura