どんなに怒られても、いい俳優になりたいと思ったからへこたれなかった

――高橋さんは20代に渡米されました。なぜ決意されたのですか?

高橋 グループも所属する事務所もなくなったので、エンターテインメントの本場であるアメリカに行って一から勉強し直したいと思ったからです。

――英語の問題はなかったですか?

高橋 渡米して最初の3か月ぐらいは、まわりが何を言っているのかさっぱり分からず、火星に降り立ったような気分でした。耳は少しずつ慣れてくるようになりましたが、僕の場合は英会話の学校へ行くのはあんまり意味がなかったかな。そもそも勉強が大嫌いなんです。普段の生活で会話をしながら覚えていくスタイルのほうが性に合っていました。

――アメリカで生のエンターテインメントに触れましたか?

高橋 現地に友達がいたので「観に行こうぜ」と誘ってもらって、ニューヨークではブロードウェイの舞台、ロサンゼルスでは映画を観まくりました。

――どれくらいの期間、滞在する予定だったのですか?

高橋 期間を決めずに、しばらく腰を据えてアメリカにいようと考えていましたが、当時つきあっていた彼女……今は奥さんですが、おなかに長男がいると分かり「日本でお父さんになるんだ!」と帰国しました。

――微妙にこの映画にリンクする部分がありますね。

高橋 そういえば文也もそうですよね。しかも真凛さんが演じる役は、僕の奥さんの名前と同じなので、演じていて複雑な気持ちになりました(笑)。

――帰国後、高橋さん自身の音楽のスタイルはどう変化しましたか?

高橋 アコースティックギターで自作の歌を歌うボブ・ディランのようなスタイルに変わりました。

――俳優の取り組み方への変化はありましたか?

高橋 日本に帰ってきてから、今所属している事務所の社長から「本格的に俳優としてやらないか」と声をかけていただき、俳優への道が開けました。男闘呼組の高橋和也というポーズはいらないのに、クセみたいなものが身についてしまっていて。最初は監督に怒られてばかり。ダメ出しの嵐でしたね。宮本亞門さんにも、市川崑監督にも厳しく指導していただきました。要するに俳優として未熟だったんだと思います。25、26歳の頃ですね。

――錚々たる方々とお仕事をされていたのですね。

高橋 チャンスをいただいたので、どんなに怒られても、ダメ出しされてもついていこう、一生懸命応えようと必死でした。いい俳優になりたいと思ったし、もっとうまくなりたいと思っていたから、へこたれませんでした。若かったですしね。自分が出演した作品が評価されるために最大限の努力をするのが何よりの喜びでした。

――最後に進路選択を控えているティーンにメッセージをお願いします。

高橋 何をやっていいのか分からないというのが一番苦しいですよね。こればっかりは、やってみないとわからないから、毛嫌いしないでいろいろチャレンジしてみるのがいいと思います。そうしていくうちに自分の好きなことがだんだんと見えてくるようになると思う。僕なんか好きなことばかりを追求してきたから、それ以外のことは何もできない(笑)。人からすすめられたものを観てみるとか、どこかに行くとか、いろんな人に会うとか、いろんな経験をして、刺激を受けて、時には悔しい思いをすることも大事。「負けるのが怖いから」と尻込みしないで勝負してほしい。負けたっていいんです。今のティーンに俺のメッセージ伝わるかな(笑)。とりあえず『追想ジャーニー』を観ることをおすすめします!

Information

『追想ジャーニー』
11月11日(金)より池袋シネマ・ロサにてロードショー
出演:藤原大祐 高橋和也 佐津川愛美 真凛 髙石あかり 岡本莉音 赤間麻里子 根本正勝 設楽銀河 伊礼姫奈 外山誠二
監督:谷健二
プロデューサー:佐伯寛之 峯達朗
脚本:竹田新
撮影:今井哲郎
録音:古茂田耕吉
美術:野中茂樹
スタイリスト:平田晴海
ヘアメイク:成谷充未 馬場良美
助監督:山口雄也
スチール:田村充 Dream Aya
©️『追想ジャーニー』製作委員会

母親と喧嘩をした高校生の文也は、勉強もせずに居眠りを始め、気がつくと舞台の上にいた。そばには見知らぬ男がいて、「今日がお前の執念場だ。ここを逃したら一生後悔することになるんだぞ」と進言してくる。やがて、同級生で幼馴染のくるみが現れ、さらには、クラスメイトのゆりえも現れる。そして、二人からどちらと付き合うか決めろと迫られる。夢なのか現実なのか理解できない中、男はこれが現実であり、俺は30年後のお前だと話す。そして今いる場所は、様々な思い出を追想し、その時選択した内容を変えられる場所だったのだ。高校生の文也と、30年後の文也。二人は、よりよい人生を送るために、自分の未来を変えることができるのだ。

公式サイト

Twitter

高橋和也

俳優・ミュージシャン

1969年5月20日生まれ。東京都出身。1988年男闘呼組として音楽デビュー。1993年解散後、1年近くのアメリカ放浪の旅の後、1994年舞台「NEVER SAY DRAEM」、映画『KAMIKAZE TAXI』(95)で俳優活動を本格的に開始。以後、その確かな演技力によって、舞台、映画、TVにと幅広く活躍。また、ラジオドラマ、韓国ドラマの吹き替え(イ・ビョンホンの声等)、文学作品の朗読、ナレーションなど声の仕事でも活躍している。男闘呼組期間限定再結成は、来年8月まで走り続ける。

Editor:Keita Shibuya,Photographer:Yasukazu Nishimura,Interviewer:Takahiro Iguchi,Hair&Make:Junko Kamata(JUNO)