毎日健康で、ちゃんと声が出るというのはすごく難しい
――小中高と一貫校に通われていたそうですが、一貫校で良かったことはありますか?
上坂 学校が変わると、上手く馴染めないとか、環境が変わって土地が合わないこともあると思うんですけど、そういう悩みがなかったのが良かったところだと思います。環境の変化に左右されず、趣味に没頭できました。
――いつ頃から大学進学は考えていたんでしょうか?
上坂 大学進学は高校2年生の時に決めました。でも、将来のことはそんなに考えていなかったです。
――大学はどういう基準で選ばれたのでしょうか?
上坂 大学進学で悩んでいた高校2年生の夏に、担任の先生に勧められて大学見学に行ったのがきっかけでした。小中高一貫の女子校で、未知なものに触れる機会が少なかったというのもあって、すごく外国の文化が新鮮に感じたんです。周りに詳しい人がいないというのも、勉強するモチベーションになりました。
――大学では演劇部に入られていたそうですね。
上坂 外国語学部は学科ごとに演劇部があるという話は聞いていたんですが、何かのきっかけでその演劇を見たら、すごくかっこよかったんです。大学生の頃は、かなり声優のお仕事を意識していましたが、養成所に入ったことがなかったので、お芝居のコツや表現方法を学びたいという意味でも演劇部を選びました。他にも放送研究会に入ってアナウンスの練習もしていました。
――大学で声優というお仕事を意識されたのはなぜですか?
上坂 やっぱり桃井さんへの憧れが大きかったです。声優って年齢とかキャリアとか関係なく、声だけで何にでもなれるというところがかっこよくて、俳優やモデル以上に声優に魅力を感じました。
――上坂さんにとってターニングポイントになった作品は何でしょうか?
上坂 「パパのいうことを聞きなさい!」(2012年)という作品です。声優を始めて間もない頃に、オーディションに合格して、初めてヒロイン役をやらせていただきました。当時は人生で2、3回目のオーディションで、右も左も分からない状態だったんです。そこで初めていろいろな先輩のお芝居を勉強させていただきました。台本のめくり方やアフレコのマイクワーク、立ち回りの方法など、基礎的なことを教えていただいたのがありがたかったです。
――声優を目指すティーンに向けて、声優にとって大切なことを教えていただけますか?
上坂 声優になる前は、毎日声がちゃんと出ることを意識していなかったんです。でも日によって声の調子が違ったり、喉の腫れなどによって聴こえ方が変わったりするので、毎日健康で、ちゃんと声が出るというのは、実はすごく難しいことなんです。たとえば10年前に演じたキャラクターを改めて演じる場合、キャラクターは基本的に年を取らないので、そのキャラクターに声を合わせなくちゃいけない。それができる先輩はすごいと思いますし、声優にはそういう心構えが必要だと思います。