「ゆりかご」は大人になったからこそ、歌ってもいいと思えた

インターバルを挟み、お次はsajiのセクション。6月に発売した2ndアルバム『ユーリカ』収録の「フォーマルハウト」、「スターフライヤー」と爽快感のある楽曲で、再び観客のハートを引き寄せると、そのまま間髪入れず「ツバサ」と3曲続けての演奏で畳みかける。

MCでは、ユタニが「やっとツアーができて、東京ファイナルを迎えることができました!ありがとうございます!」と大きな声で感謝を口にすると、観客からも大きな拍手が送られる。それに対してヨシダが「緊張されてますよね(笑)」と普段とは様子の違う点を指摘すると、「phatmansのSEが鳴った時からずっと緊張してる(笑)」とユタニもはにかむ。

その後も赤いライティングがメンバーを照らす中、感情を爆発させるようなサウンドがうなる「灯日」、軽快なピアノの旋律が特徴的な「雨と踊る」と、一曲一曲でしっかり熱度を上げていく。

続くMCタイムでは、ヨシダ自身の音楽の原点の話に。「僕はもともと中学校の時に音楽の仕事できたらいいなと漠然と思っていて。当時の部活の顧問に『高校に行ったら音楽をやりたいです』って言って。当時は『そんなものなれるわけないだろ』みたいな話をされた」「僕自身、おぼろげな夢のかけらを語ったにすぎないから、根拠も自信もなんにもない、なれるわけがないのかなと。でも、そこから高校の軽音楽部に入って、先輩で……まあ、今は人間的には後輩だと思ってますけど、先輩のユタニ君と出会って(笑)。一緒にバンドを組んで、そこから音楽の学校に行ってヨッシーと出会って。まがりなりにもこういう仕事をありがたいことに10年以上させてもらっているんです」と自身の音楽の原点をとつとつと振り返る。それに続けて「このあいだ、うちのばあちゃんが亡くなっちゃったんです。最初は残念だな、くらいに思っていたんだけど、一年くらいしてから、おかんから兄貴と僕が小さい頃にばあちゃんと旅行に行った写真が送られてきて。その元気なばあちゃんの写真を見て初めて、ばあちゃんの死を感じたというか。もう会えないんだと思った時に、今まで気恥ずかしかったんだけど、大人になったからこそ、そういう曲を歌ってもいいんじゃないかと思った」「この先、どういう人間になって、どういうアーティストになっていくのかわからないけど、この歌を歌っている限りは(ばあちゃんが)思い出として一生生きているんじゃないかなって。精一杯歌うので、みんなにも聴いていただけたらいいなと思います」という言葉に続けて「ゆりかご」を披露。今は亡き祖母への思いを込めた楽曲を、全身全霊で歌い上げるヨシダ。彼の響かせる歌声に観客もじっくり聴き入っていた。その後も「Apricot」、「三角の恋」とエモさ全開のバラード曲が続く。