男の子に間違えられた中学時代

――このお仕事はスカウトがきっかけで始められたと聞きました。もともと芸能界への興味はありましたか?

吉田美月喜(以下、吉田) 小さい頃は「女優さんってかわいい!」という憧れがあったくらいでした。小学生の時に一度スカウトされたことがあるのですが「今は勉強しておきなさい」とお母さんに言われて諦めました。その後はスポーツに明け暮れて、Tシャツに短パン姿で、髪型はベリーショート。肌は日焼けして真っ黒で眼鏡をかけていて、よく男の子に間違われていました。ところが中学3年生の時に、友達と少しだけおしゃれをして竹下通りを歩いていたら「カメラテストに来てください」とスカウトされたんです。そのカメラテストに行った日の帰り道に、今の事務所のマネージャーさんに声をかけていただきました。

――カメラテストの日に、またスカウトされたんですね。

吉田 カメラテストで、プロのヘアメイクさんにメイクをしていただいて、人生最高に仕上がっている状態だったので(笑)、運が良かったんです。

――事務所に入ってから、気持ちに変化はありましたか?

吉田 事務所に入りたての頃は「なんだか面白そう!」というフワフワした感じだったんですけど、同年代の女の子たちと演技レッスンを受けていくうちに「勝ちたい」というライバル意識が芽生えてきました。もともとスポーツ少女だから、根が負けず嫌いなんです。そこから本格的にお芝居をやっていきたいと思うようになりました。それにお芝居の現場は大人の人がたくさんいます。もともと母とおばあちゃんの影響で昭和の文化や歌謡曲が好きなので、大人の人とお話しするのが楽しかったんです。

――高校時代はコロナ禍での生活だったと思います。学業とお仕事はどうしていましたか?

吉田 コロナが始まってすぐの頃は、学校も仕事の現場も体制が整っていなかったので、ずっと家にいました。それまでスポーツばかりしていたから、1日に何本も映画を観たことがなくて、ここぞとばかりに話題のアニメを観ていたらハマってしまいました(笑)。もちろん普通の映画もたくさん観ました。母もリモートワークで家にいたので、二人でのんびり過ごせて。これから私がやりたいと思っていることについて、じっくり話をする時間が持てたので、そういう面では有意義に過ごせましたね。でも、「早く人前で演技がしたい」と思っていました。

――学校行事には参加できましたか?

吉田 文化祭も修学旅行もコロナ禍で中止になってしまいました。特に文化祭は高校最後の年だから、みんなで気合いを入れていたから開催できないと知った時はすごく残念でした。修学旅行もギリギリまで行けるかどうか分からなかったけど、結局ダメになってしまって。こればかりは仕方ないことだし、先生たちが悪いわけじゃないんですけど「制限ばかりで思い出づくりができない。大人がしっかりしてくれないからだ!」と不満を感じる生徒も少なからずいました。そこは『メイヘムガールズ』の要素に通じる部分だと思います。

――『メイヘムガールズ』では、コロナ禍で身動きがとれない10代の女の子たちのイラ立ちや不安が表現されていました。

吉田 それはうれしいです。映画ではリアルな女子高生の気持ちを表現したかったし、そうすることで超能力がより身近に感じられると思っていました。制限だらけの毎日にストレスを抱える女子高生たちの苛立ちを超能力で表現した映画なので、ティーンの皆さんには共感できる内容だと思います。

――不満の対象になった先生は可哀そうでしたね(笑)。

吉田 寝っ転がって授業を受けたりして、ひどいですよね。本当に申し訳ないと思いました(笑)。でも、そうやって思い切り反抗できるのは中高生のうちだけだから。大人になってから「こういう時期もあったな」って反省するのかなと演じながら思ったりしていました。