ダラダラやってきたけどお笑いの筋肉はついていた
――NSCで学んだことで、今も活かせていることはありますか?
浜中 ネタ見せとかで誰も笑わないんですよ。いい意味で、スベってもダメージを受けにくくなって、ハートが強くなりましたね。
脇田 一流の漫才師の人の漫才をテレビで見て「これくらいなら、自分たちもできる」と思ってやって来る人が多いんですけど、実際にやってみたら「全然面白くないぞ、何だこれは」と現実に打ちのめされるんです。僕らの時もそうでした。でも、半年ぐらいしたら、1組だけ急に面白くなったんですよ。ネタの内容はそんなに変わっていないのに。たぶんテンポとか声の張り方とかが少しだけ変わったんでしょうね。その時に「お笑いの技術ってあるんだ!」と気づきました。衝撃でしたね。
――続ける人と辞めていく人の違いは何だと思いますか?
脇田 家業がある人ですかね。
浜中 後は、結婚。子どもですね。他のものをゲットしちゃった人は、辞めざるを得ないかな。
――「M-1グランプリ2022」が開催中です。今年も準々決勝進出を決めましたが、緊張感はありますか?
脇田 1年間通して「M-1」を想定したライブをやっているので、以前に比べて緊張感は減りました。
浜中 8月くらいから「M-1」に向けて配信を辞めています。いい緊張感をキープしています。
――2人になってからはずっと「M-1」の準々決勝に進まれています。30歳でコンビを組まれたことがいい効果を生んでいるのでしょうか?
浜中 おじさんなので、いい意味で落ち着いてはいます。今の状況も冷静に見ているし、これだけ泥をすすってきたら、天狗になることはないだろうなと思います。本当は、一度くらい天狗になりたかったけど。
脇田 いろんな人のケースを見てきているので「今ちゃんとしないと来年苦労するだろうな」というポイントは押さえていると思います。16年の間、ダラダラやってきたように思えて、お笑いの筋肉は自然についていたのかもしれないです。
――進路選択を控える読者にメッセージをお願いします。
浜中 マジでやりたいことをやったほうがいいと思います。ミスってもいいから。昔、親戚のおじさんに「取り返せる年齢だから、やりたいことをやれ」と言われていたけど、本当にその通りだと思います。やりたいことだったら失敗しても、絶対経験値は上がると思います。
脇田 今年で41歳を迎えましたが、この年から始められることって少ないんです。この間、「お笑い芸人だったら、高円寺とかに引っ越さないんですか?」と言われた時に、改めてそう思いました。高円寺や下北沢は若い人が似合う街で、40歳のおじさんが今さら「初めまして」と住む場所じゃないんです。むしろ卒業する年で、若い芸人の間におじさんが混じっても、全然楽しめないですよ。そう考えると、やりたいことがあるなら若いうちにチャレンジして頑張ったほうがいい。「ここに住みたいから、住んじゃおう!」くらいの感覚で、飛び込んでほしいです。
浜中 高円寺の人はひとりもハゲてないからね。
脇田 高円寺にもいるよ!20歳くらいで「お笑いやりたい!」って熱意があったら、3万円の風呂なしアパートだって全然OKなんです。でもこの年になると「風呂なしか……嫌だな」とか思っちゃう。若いうちは、そういうのを気にせずガンガン行ったほうがいいです。
