アイドルとファンの関係が戦友みたいでかっこよかった

――ドラマ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」が放映中ですが、オファーがあった時は、どんなお気持ちでしたか?

中村里帆(以下、中村)「私で大丈夫ですか?」という……。アイドル経験ゼロ、ダンスも歌も未経験なので、私に務まるのかなというのが最初の気持ちでした。私たちが演じるアイドルグループ「ChamJam」のメンバーを聞いたら、同じ事務所の4人組ガールズユニット「@onefive」の子たちもいる中で、センターポジションだったから、不安で毎日お腹が痛くなって(笑)。でも、アイドルにずっと憧れていたので、うれしさもありました。

――どういうアイドルに憧れていたんですか?

中村 今のアイドルというより昭和のアイドルに憧れがあって、中森明菜さんが好きなんです。昭和の時代に生まれていたら、絶対にアイドルを目指していたと思います。

――随分、時代を遡りますね(笑)。中森明菜さんが好きなのはご家族の影響ですか?

中村 いえ。オーディションで「得意な曲を披露してください」という課題があったんですけど、最近の曲ってキーが高くて私に歌える曲がないんです。そこで探して出会ったのが、中森明菜さんの「少女A」でした。それから中森明菜さんの素敵な曲にたくさん出会って、沼にハマりました。

――歌とダンスの経験はあったんですか?

中村 ダンスは小学1年生から中学2年生までチアダンスを習っていたので多少のリズム感はあったんですけど、やめてから時間も経っているし、アイドルの振り付けとは全然違うので苦労しました。歌うのは大好きなんですけど、上手いかと言ったらそうでもないし、声も低いので、アイドルらしい歌い方は難しかったです。

――@onefiveはもともと「さくら学院」というアイドルグループのメンバーなので、いろいろ参考になったのではないでしょうか。

中村 みんなのことをずっと見て研究していました。@onefiveの子たちってステージ上と普段のギャップがあんまりないんです。普段から仕草がかわいいので、一緒におしゃべりしながらも、実は手の動きや表情を見て、演技の参考にさせていただきました。

――最近のアイドルグループ事情は知っていましたか?

中村 これを機に現代のアイドルについて調べました(笑)。センターっぽい人は普段からこういうしゃべり方をするんだなとか、語尾の上がり方はこうなんだなとか、踊り方も自分のキャラを出すというよりかは王道を意識しているんだなとか、細かく研究しました。

――中村さんが演じる五十嵐れおはどんなキャラクターですか?

中村 昔からアイドルをやっていて、グループ内でのアイドル歴は一番長くて最年長。ChamJamのリーダーであり、不動のセンターというポジション。でも誰よりも謙虚な気持ちを持っていて、その気持ちを忘れず、まっすぐで。気心知れたメンバーの前でもずっとアイドル“五十嵐れお”であり続けていて、アイドルの中の鏡というか、アイドルになるために、この子は生まれてきたんだろうなという女の子です。でも過去に挫折した辛い経験があるから時折、自信なさげな表情も出たりして。そこが人間らしくて、私にも共感できるところでした。最初は人間らしさに乏しくて難しい役だなと思っていたんですけど、知れば知るほど共感できたし、れおの良さを分かってあげられることができました。

――ご自身と共感できると思うのはどんなところですか?

中村 私はモデルの仕事をスタートしたのが雑誌『ニコラ』で、一緒に頑張っていた同年代の女の子たちが、活躍して前にどんどん進んでいくところを間近で見てきたんです。寮生活をしていたので、一緒に住んでいた子たちが先へ先へと進んで行くのも見ていました。れおも私と同じく前に進む子たちを見ていた側の子なので、そこはすごく共感できました。れおはその辛さを人前では絶対に出さないのが強いなと思ったし、見習わなきゃいけないなって。

――ファンとアイドルの関係についてはどう感じましたか?

中村 素敵でした。れおのオタク・くまさ役をレインボーのジャンボたかおさんが演じていますが、くまささんとれおの関係は本当にかっこいい。れおにとってくまさは心強い存在で、心の支えになっていて、一緒に夢を目指している戦友みたいな関係が羨ましいなと思いました。

――実際にパフォーマンスもしていますが、見事にアイドルになりきっていますよね。

中村 ライブハウス、路上ライブ、野外ライブと、いろんな場所でパフォーマンスして、気づいたらノリノリで踊っていました(笑)。ほぼ1発撮りで、最初から最後までカットをかけずに撮ることが多かったので、私が失敗すると、みんなに迷惑かけてしまうというプレッシャーもあったんですけど、そこはグループならではの良さで。ダンス中も横を見たら、メンバーの顔が見えて安心できるんです。だからライブ本番は、ほとんど緊張することなくパフォーマンスができました。

――もともと@onefiveのメンバーとは面識があったんですか?

中村 顔見知りではあったんですけど、ほとんど話したことはなかったですし、共演も今回のドラマが初めてです。でも団結力はすぐに生まれましたし、「私たちずっと一緒に活動をしてきた感じだよね」とみんなで話しているくらい、長年一緒にいたような安心感、空気感がありました。ドラマの撮影をしてたというよりも、7人でアイドル活動をしていたような気分だったので、クランクアップの時は解散したような気分で悲しかったです(笑)。