いろんな芸人がいる、自由度の高い東京が楽しい

――拠点を大阪から東京に移して、本格的に東京進出されました。

吉田 大阪では漫才の賞レースで結果を出さないとダメという雰囲気があるんですよね。でも、こっちに来たらモノマネだけでやっている人もいるし、変なことをやっている人もいるし、全然違う芸人同士がいろんなことを楽しそうにやっていて。仕事の種類も幅広いのでやりやすい環境ではあるなと思います。

岡下 最初、相方に「東京行かへん?」と言われた時は「もうちょっと大阪でやってから行ってもいいのかな」って思ってたんです。でも、当時大阪の劇場はパンパンで、芸歴がいった漫才師はあんまり入れないし、メンバーになるだけで最速でも半年ぐらいかかると言われていたので、だったら東京に行ってもいいのかなと上京することにしました。実際に来たら、正解でしたね。本当にいろんな仕事があって、競輪を賭けるだけの仕事とか、意味が分からない(笑)。「こんなんで金もらえるんや」みたいな。上京して、めっちゃ良かったです。

――長い間、漫才を続けられるモチベーションは何でしょうか?

吉田 30歳ぐらいの頃に、辞めようかなと思った時期がありました。でも、そう思うタイミングで新しいコンビを組むとか、東京に行くとか、何かが起きて延命することになり、辞めるタイミングを逃しているという感じですね。

――漫才以外の選択肢は考えていないということでしょうか?

吉田 今の時点では。でも、明日は分からないです(笑)。

岡下 「辞めたい」といより「辞めなあかんな」って思ったことはあります。いつまでも劇場に入れず、オーディションにも受からないのに、偉そうに芸人面している先輩たちを見てきて「はよ、辞めろや」と思っていたんですよ。今、僕がそう思われているとしたら最悪だから、「辞めなあかんな」と思っていた時期はありました。

――それはいつ頃ですか?

岡下 前のコンビの最後のほうですね。さっき、相方も言ってましたが、関西は賞レースが獲れないと仕事がないんです。10年獲れなかったら辞めようという風潮があって、でも「M-1」が15年に延びた。最悪なことに去年、錦鯉さんが優勝したじゃないですか。「あんなおっさんが獲れるんだったら」と、くすぶっている芸人に夢が芽生えちゃって(笑)。本当は早く辞めなあかんのに、でも楽しいから辞められないんですよね。

――モチベーションは「楽しい」という気持ちなんですね。

吉田 結局そこに尽きるんですかね。

――これからやってみたいお仕事はありますか?

吉田 今年はCMのお仕事があって、めちゃ楽しかったです。今はどんな番組でもいいので出演できたらうれしいですし、コンビの知名度を上げていきたいです。

岡下 個人的には俳優として朝ドラに出てみたいですね。おいでやす小田さんが超うらやましいです。相方もやりたいことをやったらいいと思う。でもどんなに忙しくなっても、変わらず漫才は続けていきたいですね、

――最後に進路選択を控えているティーンにメッセージをお願いします。

吉田 今のティーンは私たちの時とは選択肢の多さも情報量の多さも全く違います。欲しい情報が簡単に得られるのはいいことではあるけど、取捨選択が難しくなる大変さもあると思う。いろんなものをいっぱい見て「こっちもいいなみたいな」と小さな選択を重ねていけば、おのずと自分のやりたいことが見つかるんじゃないかな。

岡下 やりたいことを見つけて、それに向かって頑張れることってほんま幸せなことだと思うんです。でも、全員が全員、それが実現できるとは限らない。芸人だって「絶対売れる!」と思っていても、心のなかでは「ダウンタウンさんにはなれへん」「自分のお笑いが通用するのかな」と不安を抱えているけど、そうならない可能性はゼロじゃないから。何もせずに「どうせ、無理だろうな」と諦めてしまうのはもったいないし、やりたいことも見つけにくくなってしまうと思うので。1%でも「やってみたい」という気持ちがあるんだったらチャレンジしてください。

――お二人とも小さい頃から好きだったものがずっと続いている訳ですからね。

岡下 そういう意味ではほんま幸せな話だね。

吉田 大人になってから「やりたい」と思うことが見つかる場合もあるので、長い目で見てほしいです。

Information

「おいでよ!青春る(あおはる)」(文化放送)
毎週火曜19:00~21:00生放送出演中

ヨシモト∞ホールのレギュラーメンバーとして公演多数出演するほか、各吉本劇場にも不定期出演中。

公式サイト

THIS IS パン

芸人

岡下雅典(おかしたまさのり・ボケ担当・1986年8月13日生まれ、大阪府出身) と吉田結衣(よしだゆい・ツッコミ担当・1989年3月17日生まれ、大阪府出身)による漫才コンビ2017年結成。芸歴14年目。2020年「NHK新人お笑い大賞」本選進出。

Editor:Keita Shibuya,Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer:Takahiro Iguchi