かっこつけないかっこよさを意識した役作り

――映画『カラダ探し』は小説投稿サイトで人気を集めた携帯小説が話題となり、2014年には漫画版が累計閲覧数1億回を記録、コミックスはシリーズ累計発行部数340万部を突破したホラー作品の実写化です。初のホラー映画出演ですが、オファーされた時はどんなお気持ちでしたか?

眞栄田郷敦(以下、眞栄田) 初ホラーという楽しみもありつつ、ずっと羽住英一郎監督と一緒に仕事をしたいなと思っていたので、それが何よりうれしかったです。

――脚本を読んだ印象はいかがでしたか?

眞栄田 お話をいただいてから漫画版を読みましたが、漫画はもっと描写がグロいですし、僕の演じた伊勢高広もグレているんですよね。その辺を映画版はバランスよく描かれているなと。ホラーですけど、各キャラクターの描写も面白くて、高校生ならではのモヤモヤもしっかり描かれていたので、演じる上でもやりがいがありました。交わることのなかったクラスメイト6人が協力して、マイナスを逆手にとって楽しんでいく。その青春の移り変わりみたいなところは、この映画の大好きな部分です。また、日本っぽいじめっとしたホラーではなくて、アトラクション感覚のエンタメとして観られる作品になるだろうなと思いました。

――伊勢高広というキャラクターにはどんな印象を受けましたか?

眞栄田 クラスの中心にいて友達も多くて、スポーツもできて、容姿もいい(笑)。でもかっこつけてないし、自分から中心になろうともしていない。かっこつけないかっこよさというか、かっこよさが自然と滲み出る役だったので、そこは意識して役作りをしていきました。

――高広に共感できるところはありますか?

眞栄田 前半は自分にない要素が多かったです。後半になると、みんなとの関係性もできあがって、実際のカラダ探しで高広が先頭を切っていく行動していくところは、自分にもある部分だったので、やりやすかったです。

――バスケをするシーンがありますが、さすがの身体能力だなと圧倒されました。撮影のために準備はされましたか?

眞栄田 バスケのシーンは、一緒にやったのが実際にバスケ部やチームの方々だったので、撮影前に教えてもらいながらずっと練習していました。本格的にプレイしたのは高校生ぶりぐらいですけど、楽しかったです。

――現役の選手と言われても納得する動きでした。

眞栄田 本当ですか?ありがとうございます!

――敵と戦うアクションシーンも素晴らしかったです。

眞栄田 アクション監督とたくさんディスカッションして、映像をチェックしながら演じました。

――前半と後半では、6人の関係性も大きく変化しますが、演じる上で意識したことはありますか?

眞栄田 前半は、かっこつけないかっこよさを表現するために、細かい仕草やしゃべり方などに気を使いながら演じていました。後半は、クラスメイト6人を演じた全員がリアルに仲良くなって、それが演技にも反映されたと思いますし、海のシーンや6人で夕日を見ているシーンは印象的です。

――特に思い出に残っているシーンを教えてください。

眞栄田 明日香(橋本環奈)と二人きりの屋上のシーンは、夕陽のベストな時間に合わせるために、カメラの移動やセッティング、カメラテストも含めて午前中から4回ぐらいリハーサルをしました。普通だったら2、3時間かかるような撮影だったんですけど、綿密に準備したおかげで、20分ぐらいで撮影が完了して、監督のこだわりを感じました。