舞台の客席とステージを利用した斬新な演出が面白い

――本作のオファーを受けた時のお気持ちはいかがでしたか?

藤原大祐(以下、藤原) 谷健二監督とは、1、2年前ぐらいから面識があり、当時から「一緒に作れたらいいね」というお話をいただいていたんです。それからいろいろあって「ようやく実現できた!」という気持ちでした。

――舞台セットを利用した演出が斬新でした。

藤原 撮影現場が本物のホールで「ここで演じるんだ!」とビックリしました(笑)。過去の女性と出会ったりするシーンは舞台の上で、未来の文也との会話は観客席でという舞台を二面的に利用した演出が素敵だなと思いました。高校生の文也が居眠りをしているといつの間にか舞台の上にいる。そこから30年後の文也に出会うという、夢なのか現実なのか分からない設定も含め、他にはあまりない新しい作品だと思いました。

――カメラの動きもダイナミックでした。

藤原 演じる側としては、手持ちカメラで撮られていたので、カメラを意識せずにお芝居できました。順撮りだったので、感情移入もしやすかったです。舞台で演じていることも含めて、生っぽさが表現できたかなと。とはいえ、本物の舞台とは違ってシーンごとに撮るので、撮影の度に気持ちのギアを上げなきゃいけない難しさはありました。

――18歳の文也を藤原さんが、30年後の文也を高橋和也さんが演じられています。同一人物を演じる上で意識されたことはありましたか?

藤原 空白の30年を経て人間的にも変わっているし、同一人物だからと細かい部分を似せようとは思いませんでした。あくまで僕の想像ですが、僕は高橋さんの演技を見て「30年後はこうなるんだ」と思ったし、高橋さんも「30年前はこんな感じだったな」という見方をされていたんじゃないかな。

――高橋さんと演技についてお話をされましたか?

藤原 撮影期間が3日間しかなかったので、朝から晩まで、みんなで力を合わせて、いい作品を作り上げることに集中していました。脚本が面白いから、それにどんなスパイスを加えていくかは、各自がやってみたものが正解という感じで。高橋さんとは具体的なことは話さなかったですが、違和感のない関係性が表現できたのではと思っています。

――高橋さんは男闘呼組を再結成されて話題にもなりました。ご一緒されていかがでしたか?

藤原 ものすごくエネルギッシュな方でした。キャリアを積んだ方にしか出せない存在感、生き方を目の前で感じました。最近は同世代の役者と芝居をすることが多いのですが、経験値の違いに圧倒されました。まだまだキャリアが浅い僕にとっては、とても勉強になりました。